中国請負の高速鉄道建設が工期遅延に予算超過 インドネシア、入札に敗れた日本の参加要望
また別に会見したエリック・トヒル国営企業相も「中国主体のコンソーシアムによる高速鉄道計画はジャカルタからバンドンまでだが、政府は日本との間でジャカルタから東ジャワ州の州都スラバヤまでの鉄道高速化計画を進めており、この鉄道2路線の国家戦略プロジェクトを一本化して、ジャカルタからバンドンを経由してスラバヤとを結ぶ一つの鉄道計画として今後進めたいというのがジョコ・ウィドド大統領の思惑だ」と明らかにした。
さらにエリック国営企業相は大幅に遅れているジャカルタ=バンドン間の高速鉄道建設計画は日本が参加することによって今後順調に進むとの見通しから「2022年9月までの完工を目指したい」との希望的観測を明らかにした。
この閣議でのジョコ・ウィドド大統領の方針は正式には日本側にはまだ伝えられていないが、2019年9月に日本とインドネシアが合意に達した在来線の高速化計画ではジャカルタからスラバヤまでジャワ島北部海岸沿いを走る在来線を改良して高速化し、約350キロ間を現在の3時間から大幅に短縮する予定となっている。
日本参加の実現の可能性は?
しかし今回のインドネシア側が目指す1本化案になるとジャカルタからジャワ島の高原都市でもあるバンドンを経由してスラバヤに向かう路線となるため、大幅な路線変更となる可能性がでてくる。
加えて中国とインドネシアの企業体が請け負っているバンドンまでの工区での建設が順調に進んでいないことから、この工区を今後これまで通りの中国主体で進めるのか、日本側も参画することになるのかが現時点では判然としていない。
鉄道建設の専門家などによると、バンドンまでの工区にはすでに完成したトンネルも多く、日本側が工事に関与した場合、日本が求める安全基準が満たされたトンネルや線路かどうかを再確認する必要が生じる可能性もあるとして「鉄道に関しては安全を最優先する日本の参加でインドネシア側が企図する早期完工に単純に結びつくかどうかは不透明」との見方を示している。
また今回のインドネシア側の「一方的な方針変更」を報道で知ったという日本の関係者は、2015年の入札の際の経緯を念頭に「まだなんの具体的アプローチはインドネシア側からはないが、過去の経緯からして、はいそうですか、とすんなりと行くことは難しいのではないだろうか」と話している。