規制緩和のドイツ、東欧からの労働者が働く食肉工場でクラスター相次ぐ
東欧からの労働者が働く食肉工場でクラスターが発生 CGTN-YouTube
<制限措置の緩和が続いているドイツで、難民施設や東欧からの労働者が働く過酷な職場でのクラスターが相次いでいる......>
ドイツでは新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために3月から導入していた制限措置の緩和が続き、18日からは屋外限定で飲食施設の使用も可能になった。その一方で、難民施設や移民のあいだでの新型コロナ感染が相次いで報告されている。どうやら、彼らがおかれている劣悪な環境に原因があるようだ。
これまでのように難民を国中に分散させるのではなく、3月12日より新型コロナ対策として、新しく到着した難民認定申請者に「レセプションセンター」での2週間の隔離を義務付けている。こうした施設は過密状態で、相部屋もめずらしくない。また、身体距離の確保などのルールに従い、移民や難民たちが利用できるサービス(語学コースなど)も減少している。
難民施設でのクラスター発生が続いた
ボン郊外のザンクト・アウグスティンの難民保護施設では先週末、100人以上の新規感染者が確認された。残りの500人近くの居住者も次々に検査を受けている。
これは、同施設と同じくノルトライン=ヴェストファーレン州にあるミュンスター行政裁判所が先週、「難民避難所の衛生状態が悪く、衛生用品も不十分であり、また混雑のために身体距離がとれず危険である」とする別の施設の妊婦とその夫の訴えを認めた矢先のことだった。「もし難民申請者が異なって扱われるようなら、これは州が定めた対新型コロナ規制と矛盾する」と裁判所は認めた。夫婦はこれにより、これ以上難民施設にとどまる必要がなくなった。
また先月には、バーデン=ヴュルテンベルク州のエルヴァンゲンの施設で、最初は7人ほどだった新規感染者が1週間で施設の住人の約半数である259人に増えるなど、難民施設でのクラスター発生が続いた。一部の政治家たちが繰り返し難民施設での待遇改善や検査を要求してきたが、なかなか実現されることはなかった。
ルーマニアやポーランドの労働者が働く食肉工場でクラスターが発生
難民施設ばかりではない。ドイツ各地の食肉工場でクラスターが発生しているが、これらの施設で働くのはルーマニアやポーランドなど東欧からの労働者たちだ。
つい先日200人以上の感染者を出したヴェストフライシュ社の工場のあるノルトライン=ヴェストファーレン州ケースフェルトでは、地元の緑の党議員アンネ=モニカ・シュペルクが、誰も労働者の健康と安全状況に責任を負わず、問題を「地方自治体、地域、州の間でたらい回しにしている」と糾弾している。
これは、東欧や南東欧からの労働者が中間業者に契約雇用されているためで、ドイツの公衆衛生担当者は誰かが感染した場合しか関与しないと指摘する。
難民施設と同様、これらの労働者が暮らす居住施設も過密状態で、部屋を他人と共有しなければならない場合もめずらしくない。地元住民は、英語もドイツ語もあまり解せず、劣悪な環境で搾取されている労働者たちに同情的なようだ。
ケースフェルトのカトリック神学者コッセンは、多くの外国人労働者がカビの生え老朽化した寮や、工場へ通うための過密状態のバスのなかで、互いに安全な距離を保つことが不可能な状態であると指摘している。
また、ルーマニアからは国境封鎖中も、農作物収穫を手伝う季節労働者たちが特別ビザを得て入国しているが、4月には新型コロナ感染により死者も出ている。