人手不足に新型コロナが追い打ち 医療現場同様に疲弊する日本の介護現場
施設の職員には自身が感染するリスクもつきまとう。NHKによると、日本では5月10日までに624人の新型コロナウイルスによる死亡が報告されているが、その約60%が介護施設で確認されたものだった。
職員は、もし家族の誰かが高熱を出せば2週間自宅で待機しなければならない。勤務中はマスクの着用が義務付けられており、マスクを怖がる入所者もいるという。厚労省によると、介護施設の職員全てにコロナウイルス感染の有無を調べる検査を行う計画はない。
淑徳大学社会福祉学科の結城康博教授は「このまま6月、7月、8月になれば、職員の数は減り続け、介護サービスを提供できなくなる」と懸念する。「そうなれば、介護の崩壊となりかねない」。
1万人の外国人材
新型コロナ危機の特徴の1つは、人びとの移動が制限されたこと。外国人材に依存してきた介護現場はその影響をもろに受けている。日本では現在、約1万人の外国人が老人介護施設で働いている。
大阪の特別養護老人ホームに勤務する34歳のフィリピン国籍の女性は、日本で働きたい人材を3000人ほど集め、随時、募集のためフィリピンへ行く。4月に新たな人材が来日する予定だったが、新型コロナの影響で取りやめになったという。
「(コロナのせいで)もちろん来られない」と話す彼女が働く施設では、80人程度のスタッフのうち13人が外国人だという。「仕事はとてもきつい」と彼女は語る。
東京に住む清水富生子さんの両親は、神奈川県川崎市の介護付き有料老人ホームで暮らしている。清水さんも例外なく、80代の両親と会えない日々が続いている。
「両親にとって家族と話すのが一番元気が出ることだと思うので、そうしてあげたい。会えないのはとても寂しい」と、清水さんは話す。
母親の久子さんは、筋肉が衰えないようにと毎日施設の中を散歩している。「また元の日常に戻ってほしいけど、それまでには長い時間がかかると思う」と、久子さんは電話で語った。「それを考えると、何となく少し憂鬱な気がします」
Elaine Lies
(日本語記事作成:宮崎亜巳、久保信博※)
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