新型コロナ対策の規制緩和した韓国 感染症と暮らす「新しい生活様式」とは
3密となる映画館での対策は?
日本でも、映画館の救済を呼び掛けるSNSの投稿をよく見かけるようになった。閉鎖されたイメージの強い映画館では、いくら館内換気や消毒が行き届いていると言われても避けがちになってしまうのだろう。
韓国ではUn-tact=非接触サービス(Un+接触のcontactで接触無しの意味の造語)がキーワードになっている。コロナ禍が始まる以前から映画館の無人化が進んでいた韓国では、既に体制が整っていたので、映画を観て映画館を出るまで完全無人化も容易に実現可能となった。
これまでチケット購入からフードドリンクの注文までスマートフォンやPCからすでに出来るようになっていたが、一部CGV系列のシネコンで開始されていた劇場入口のチケットもぎりの無人化も今回の新型コロナの拡大で広まっている。チケットのオンライン購入は、万が一にも映画館をもとにしたクラスターが発生したときにも、濃厚接触者の調査追跡を可能にするという点で推奨されているようだ。
また、映画館側は対策として、1日2回場内を消毒するほか、通常朝から夜まで平均的に6~7回上映していたものを、当分は4回程度に上映回数を抑える方針だ。
各シネコンチェーンの対策を見てみると、ロッテシネマでは、客席を左右2席分を空席配置にする。またメガボックスは、奇数の座席番号は購入できないようにして、やはり左右に空席を設ける。一方、配給会社NEWが経営するシネQ系列の映画館では、座席予約をする際、選んだ席の前後左右4席も同時に予約されたことになり、周りに人が座れないように工夫されている。
貸し切りイベントなどのプロモーションも
各シネコンともこうした感染対策を実施して営業再開するが、しばらくは利益落ち込みが続くとみられ、行政機関である映画振興委員会は、映画6000ウォン割引クーポン133万枚配布を実施している。また、先月中旬には、CGVとメガボックスが、特に客足が遠のいて売上が落ち込んでいる数館を中心に、約3千円で映画館を貸し切りできるイベントを開始して話題となった。
博物館などの公共施設も次々と再開が報告されている。ソウル・龍山に位置する戦争記念館では、顔面認識システムが導入された。これは、来場者の顔をカメラで認識して、マスクの着用の有無を確認すると同時に体温も測定。また入出場をチェックして館内にいる入場者数の管理も行っているという。
ハイテクシステムを次々に導入し、このコロナ禍によってそれを定着させようとしている韓国。感染拡大が始まった頃からドライブスルー方式や、電話ボックスのような完全接触無しの状態での診察など、ユニークなアイディアを生み出し世界から注目を浴びた。
これからやってくるポストコロナ時代に向けて、日本でも感染第2波のクラスターを発生させることなく外出自粛や営業自粛などの規制解除を行うため、良い例も悪い例もひっくるめて韓国に学ぶことは多いのではないだろうか。
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