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アメリカ社会

ロックダウン解除で試されるアメリカの「ウィズコロナ」計画

Life After Lockdown

2020年5月14日(木)16時05分
フレッド・グタール(本誌サイエンス担当)

ひどい話で、うまくいかない可能性さえある。適切な検査ができない場合、保健当局は入院患者数などの間接的なデータから新たなロックダウンが必要かどうかを判断せざるを得ないだろう。これでは感染者の急増に気付きにくく、破滅的な感染拡大の再燃を避けられない。政治家は保健当局の要請を聞き入れて迅速に経済活動を停止する措置を取るだろうか。市民は再三の規制を受け入れ、守るだろうか。

シンガポールの最近の情勢を見る限り、楽観はできない。

世界有数の医療システムを誇る同国は当初、包括的検査と徹底した接触追跡によって、厳格な社会的距離戦略に頼ることなくウイルス封じ込めに成功していた。だが感染拡大を制御できなくなり、4月7日から職場などの閉鎖に踏み切った。5月中の経済活動再開は厳しい。検査・監視体制の安定しているシンガポールでさえ難しいことが、アメリカにできるだろうか。

社会的距離を保つ以外に選択肢のない状況で、ロックダウンから正常化への現実的な出口戦略を描くのは至難の業だ。ワクチンや有効な治療法や救急医療の大幅な拡充といった他の介入策が考案されるまで、当面は社会的距離を保つ生活が続きそうだ。

<本誌2020年5月19日号掲載>

【参考記事】「コロナ後の世界」に立ちはだかる2つの難題
【参考記事】あまりにも悲痛な事態を前に言葉を失うアメリカ社会

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