最新記事

投資

バフェットが米航空株をすべて売却、「私のミスだった」

Coronavirus Market: Warren Buffett Unloads His Entire Holdings In U.S. Airlines Stocks At A Loss

2020年5月7日(木)14時15分
パラシュ・ゴシュ

駐機場には減便で飛ばない旅客機がずらり Mike Blake-REUTERS

<新型コロナウイルスによるロックダウンの後、アメリカ人が再びかつてのように空を飛ぶようになるのかわからないとして、デルタ、アメリカン、サウスウエスト、ユナイテッドの4社から資金を引き揚げた。4社は今後、自らの資産を食い潰すことになる、とも>

米著名投資家のウォーレン・バフェットは5月2日、自身が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイの年次株式総会で、同社が保有していた40億ドル相当の米航空株をすべて売却したと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大の悪影響が続いていることが理由だ。バフェットはユナイテッド航空、アメリカン航空、サウスウエスト航空とデルタ航空の株式を保有していた。

「航空ビジネスは大きく変わったと思う」とバフェットは言った。「将来が見えにくくなった。ロックダウン(封鎖措置)が長期間続くことでアメリカ人の習慣がどう変わったのか、今後どう変わるのか、私には分からない」

コロナ禍の影響で、空の旅の需要は激減した。何千もの航空機が待機状態にあり、運航便数は減っている。各航空会社は大幅な人員削減に踏み切ったり、従業員に無給休暇を取るよう要請したりしている。

「大幅な損失を出してでも、航空株を手放すことを決めた」とバフェットは語った。「将来的に資金を食いつぶすと予想される企業に資金は出せない。(航空業界は)需要が干上がっている状態だ。基本的に、空の旅は停止状態にある」

<参考記事>気がつけば乗客は自分1人だけ それでも飛ぶ米航空機業界の苦境

気が変わったらすべてを売るのが流儀

バークシャーはデルタ航空株の11%、アメリカン航空株とサウスウエスト航空株のそれぞれ10%とユナイテッド航空株の9%を保有していた。これら航空大手の株価は2020年に入ってから46%~70%下落している。4月には4社とも、第1四半期の決算で数年ぶりの損失を報告していた。

バフェットはさらにこう語った。「私たちにはどうにもできない事情によるロックダウンで、複数の業界が影響を受けている。そして残念ながら、中でも大きな打撃を受けているのが航空業界だ」

<参考記事>新型コロナで激変する世界の航空業界、その未来は中国が決める

またバフェットは、航空各社に「これまでに70億ドルから80億ドルを投じたが、回収できた金額はそれに遠く及ばない」とも説明。航空業界への投資は「私のミスだった」と責任を認めた。

また航空株を全て手放したことについてバフェットは、「売却すると決めたら、一部ではなく全てを売却するのが私たちのやり方だ」と説明。「持ち分を少しずつ減らすようなことはしない。気に入った企業があればそこの株式をなるべく多く買って、できる限り長く持ち続ける。気が変わったら、中途半端なことはしない」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

加クシュタール、11─1月期は売上高が予想下回る 

ワールド

国際開発局解体「違憲の恐れ」と米地裁、一段の人員削

ワールド

トランプ氏、FTC民主党系2委員を解任 規制当局の

ビジネス

クシュタール、セブンの一部株主と面談 膠着打開目指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平
特集:2025年の大谷翔平
2025年3月25日号(3/18発売)

連覇を目指し、初の東京ドーム開幕戦に臨むドジャース。「二刀流」復帰の大谷とチームをアメリカはこうみる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 2
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研究】
  • 3
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 4
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料…
  • 5
    「トランプ錯乱症候群」(TDS)って何? 精神疾患に…
  • 6
    ローマ人は「鉛汚染」でIQを低下させてしまった...考…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「二酸化炭素(CO₂)排出量…
  • 8
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 9
    DEFENDERの日本縦断旅がついに最終章! 本土最南端へ…
  • 10
    鈍器で殺され、バラバラに解体され、一部を食べられ…
  • 1
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研究】
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料…
  • 6
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 7
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 10
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 8
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中