最新記事

感染症対策

EU、新型コロナウイルス治療薬・ワクチン開発に9000億円調達

2020年5月28日(木)10時52分

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は27日、新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬の開発のほか、医療保健サービス提供に必要な向こう4年間分の資金確保に向け、金融市場から77億ユーロ(を調達する計画を発表した。英キールの研究施設で4月撮影(2019年 ロイター/Carl Recine)

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は27日、新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬の開発のほか、医療保健サービス提供に必要な向こう4年間分の資金確保に向け、金融市場から77億ユーロ(84億9000万ドル)を調達する計画を発表した。域外への依存度低下も目指す。

金融市場からの資金調達計画は26億ドル規模の緊急基金を補完するもので、実施には加盟各国政府の承認が必要になる。

EUは27日に公表した文書で、「医療用品や医薬品など最も必要とされる物資の輸入に対する過度な依存を低下させるために、欧州は戦略的な自治の強化に努める必要がある」とした。

具体的には、欧州委はEUの1兆1000億ユーロ規模の長期予算を担保に7500億ユーロを調達。このうち77億ユーロを2024年末までの医療費などに振り向ける。

このほか、17億ユーロをEU予算から直接拠出し、27年までの医療保健支出に充てる。

欧州委は医療費の具体的な内訳は明らかにしなかったものの、新型ウイルス感染拡大に起因する「脆弱性」に対応する必要があると強調した。

詳細は28日に公表される見通しだが、製薬業界にワクチンや必須医薬品の製造拠点をEU域内に戻す奨励金などを支払う可能性がある。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・コウモリコロナウイルス研究への助成中止、政治の気まぐれ介入に科学者は猛反発
・新型コロナ対策追加に伴う第2次補正予算案のまとめ
・経済再開が早過ぎた?パーティーに湧くアメリカ
・新型コロナの死亡率はなぜか人種により異なっている


20200602issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月2日号(5月25日発売)は「コロナ不況に勝つ 最新ミクロ経済学」特集。行動経済学、オークション、ゲーム理論、ダイナミック・プライシング......生活と資産を守る経済学。不況、品不足、雇用不安はこう乗り切れ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ車販売、3月も欧州主要国で振るわず 第1四半

ビジネス

トランプ氏側近、大半の輸入品に20%程度の関税案 

ビジネス

ECB、インフレ予想通りなら4月に利下げを=フィン

ワールド

米、中国・香港高官に制裁 「国境越えた弾圧」に関与
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中