最新記事

感染症

米、新型コロナウイルス死者予測引き上げ 8月までに14.7万人=ワシントン大

2020年5月13日(水)11時00分

米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)は12日、モデル分析に基づき、8月初旬までの米国での新型コロナウイルス感染による死者数が約14万7000人に達すると予測した。写真はコロナで亡くなった退役軍人の棺。5月4日、マサチューセッツ州エバリットで撮影(2020年 ロイター/Brian Snyder)

米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)は12日、モデル分析に基づき、8月初旬までの米国での新型コロナウイルス感染による死者数が14万7000人超に達すると予測した。前回予想から1万人近く引き上げた。ロックダウン(都市封鎖)措置緩和の影響などを反映した。

IHMEは、リポートで「検査やモビリティ(移動)に関する変更、対人距離確保政策の緩和などウイルス感染の重要な要素」を反映したと説明した。

ロックダウン措置の解除を急げば、新型コロナ感染の第2波を招くリスクがあると国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長らも警鐘を鳴らしており、IHMEの死者数予想引き上げは公衆衛生上のリスクに対する新たな警告となる。

ファウチ氏ら医療専門家は、検査や感染者との濃厚接触者追跡の体制拡充などの安全対策が整う前に事業活動の規制緩和に踏み切ることに注意を促している。

IHMEは、規制緩和による影響を正確に把握することは困難と指摘。「封じ込め措置が完全に強化されていない場合は特に、ウイルスにさらされて感染するまでや疾患の進行に時差が生じるため、社会的距離確保政策の緩和による全般的な影響を完全に把握するには数週間かかる可能性がある」との認識を示した。

ロイターの集計によると、米国の新型コロナ感染者数は136万人超で、死者は8万1000人近くに上っている。

IHMEの最新の予測では米国の死者数は8月4日までに14万7040人に達する見通しで、10日に示した前回予想を9856人上回る水準。

この数字は予想レンジの平均で、死者数は最善のシナリオでは10万2783人、最悪のシナリオでは22万3489人が見込まれている。

IHMEは1週間前の予想では約30州の規制緩和による影響で死者数は約13万5000人に達する見込みとし、4月29日に示した予想からほぼ倍に引き上げていた。

*内容を追加しました

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・緩むとこうなる?制限緩和を試みた韓国にコロナのしっぺ返し
・東京都、新型コロナウイルス新規感染28人 10日連続で2桁に抑える
・韓国・梨泰院のクラスター、新型コロナ感染102名に ゲイの濃厚接触者の追跡がネックに
・緊急事態宣言、14日めどに専門家意見を踏まえ可能なら解除=官房長官


20050519issue_cover_150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月19日号(5月12日発売)は「リモートワークの理想と現実」特集。快適性・安全性・効率性を高める方法は? 新型コロナで実現した「理想の働き方」はこのまま一気に普及するのか? 在宅勤務「先進国」アメリカからの最新報告。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ルビオ氏、米国務省の欧州担当トップに元側近起用 欧

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、低下続く 4月確報値52

ビジネス

金融市場、関税政策に適応=トランプ氏

ビジネス

トランプ関税、英ではインフレよりデフレ効果=グリー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 4
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 8
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中