韓国そして中国でも「再陽性」増加 新型コロナウイルス、SARSにない未知の特性
中国ではCOVID-19封じ込めに向けた戦いが新たなフェーズに入るなかで、相次ぐ再陽性が最前線の医師たちを悩ませている。写真は陰性になったと判断され、退院する女性を見送る病院のスタッフ。3月1日、武漢で撮影(2020年 ロイター/Aly Song)
防護服、二重のマスク、フェイスシールドを着用したデュ・ミンジュンさんは、ある朝、武漢郊外にあるアパートの1室を訪れ、マホガニー製のドアをノックした。
マスクを1枚着用した男性が、ドアを少しだけ開いた。デュさんが心理カウンセラーであると自己紹介すると、彼は突然ワッと泣きだした。
「もう我慢できない」と男性は言う。50代と思われるこの男性は2月初めに新型コロナウイルス陽性と判定され、2カ所の病院で治療を受けた後、武漢の工業地区にある、アパートが集まる地区に設けられた隔離センターに移送されたという。
最初に感染してから2カ月も経つのに、なぜまだ体内にウイルスが存在するという検査結果になるのか、と男性は問いかけた。
容態が回復してもなお陽性
中国におけるCOVID-19対策は、国内でのウイルス感染拡大を減速させることには成功した。しかし、封じ込めに向けた戦いが新たなフェーズに入るなかで、こうした問いへの答えは最前線の医師たちを悩ませる最大の謎の一つとなっている。
12月にウイルスが初めて確認された武漢では、医師たちが「容態は回復し症状は見られないのに、依然として検査では陽性となる患者の数が増大している」と話す。
医師たちによれば、こうした患者は全員、容態回復後のある時点で陰性と判定されている。だがその後、人によっては最大70日後に、再び陽性と判定された。多くは50─60日後に再陽性となっている。
ウイルスの拡散が減速するなかで、多くの国がロックダウン(都市封鎖)の解除と経済活動の再開を模索しているが、回復したはずの患者が引き続き陽性となり、したがって感染を広げる可能性があるという見方は、国際的な懸念の的になっている。
今のところ、世界的に推奨されている隔離期間は、ウイルスに暴露してから14日間とされている。
中国の医療当局者によれば、新たに再陽性となった患者が他者に感染させた事例は確認できていないという。
「再陽性」というカテゴリーに該当する患者について、中国は正確な人数を公表していない。だが、中国の複数の病院がロイターに開示した情報と、他メディアによる報道からは、そうした事例は少なくとも数十件に達しているようだ。
韓国では、4週間以上にわたって検査結果が陽性となる患者が約1000人を数える。欧州で最初にパンデミックの洗礼を受けたイタリアでは、新型コロナウイルスの患者が約1カ月にわたって陽性を示す可能性があることを医療当局者が認識している。
再陽性の患者にどの程度の感染力があるかという点については限られた知見しか得られていないが、武漢の医師たちは、こうした患者の隔離期間を延長している。
最も重篤な新型コロナウイルス患者が治療を受けている武漢・金銀潭病院のツァン・ディンギュ院長は、特に患者に感染力がないことが証明される場合であれば、隔離措置が過剰になりかねない可能性も医療当局者は認識している、と話す。だが今のところ、市民を保護するために隔離を延長しておく方がいい、と同院長は言う。
ツァン院長はこの再陽性患者の問題について、患者の病院が直面している最も緊急の課題の1つであるとし、精神的な重圧を緩和するために、冒頭のデュさんのようなカウンセラーが活用されていると話す。
「患者にこうした重圧がかかることは、社会にとっても負担になっている」
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