米ジョージア州が「ロックダウン破り」、濃厚接触でも営業再開を待ちきれず
Georgia Mayors Call Kemp Decision to Reopen Some Businesses 'Irresponsible'
ジョージア州の公衆衛生委員を務めるキャスリーン・トゥーミー博士によれば、ケンプの決定は、経済再開のために連邦政府が示した指針に沿ったものだという。トゥーミーは、州知事とともに出席した20日の会見で、「(新たな感染者数が)横ばいになっているのはまちがいなく、減少の兆しも見える」と語った。
だが、別の医療専門家は懸念を表明している。
「きわめてリスクが大きい」。ハーバード大学公衆衛生大学院のマーク・リプシッチ疫学教授は、アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション紙にそう話す。「営業再開が広がれば、ジョージアで再び感染拡大が起こるのはほぼまちがいない。人々の接触が増えるのをウイルスはひたすら待っている。ウイルスの思う壺だ」
感染者も死者も減っていない
ホワイトハウスが各州に出した指針では、自治体が経済活動を再開するためには、確認された症例数と死者数が2週間にわたって減少している必要がある。また、さらなる感染拡大を効率的に捕捉して食い止めるために、検査能力と接触追跡能力を大幅に拡大させる必要もある。
4月21日午後の時点で、人口約1000万人のジョージア州で確認された新型コロナウイルスの感染者数は1万9881人近くにのぼる。うち799人が死亡し、3779人が入院している。アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション紙がまとめたコロナウイルスの追跡データでは、確認された症例数と死者数のどちらについても、ホワイトハウスの勧告する「2週間にわたる一貫した減少」は見られていない。それに検査数が増えたといっても、ジョージア州は今も人口あたりの検査数がもっとも少ない州のひとつだ。
(翻訳:ガリレオ)
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