最新記事

感染症対策

安倍首相「緊急事態宣言の拡大、都市から地方へ人の移動避けるため 現金給付の混乱は私の責任」

2020年4月17日(金)20時35分

安倍晋三首相(写真)は記者会見で、新型コロナ対策で国民に一律10万円の支給を決めたことについて、現金給付の総額は14兆円を上回る規模になるとしたうえで、閣議決定後に補正予算を組み替える混乱を招いたことは自身の責任であり、お詫びすると語った。首相官邸で代表撮影(2020年 ロイター)

安倍晋三首相は17日夕の記者会見で、新型コロナ対策で国民に一律10万円の支給を決めたことについて、現金給付の総額は14兆円を上回る規模になるとしたうえで、閣議決定後に補正予算を組み替える混乱を招いたことは自身の責任であり、お詫びすると語った。緊急事態宣言を全都道府県に拡大したことについては、都市部から地方への人の移動は避けなければならないと強調。できる限り外出は控えてほしいと呼びかけた。

10万円給付、もっと早く決断すべきだった

政府が先に閣議決定した経済対策には、支給先を絞り込んだ一人30万円の現金給付が盛り込まれていたが、公明党の強い要請もあり、首相は10万円の一律支給に方針を変更した。

これは国民や与野党の声を踏まえた決断だとしたうえで「プロセスの混乱については私自身の責任であり、おわび申し上げたい」と陳謝。10万円の一律給付について「国民の声が多いことは承知していた、もっと早く判断すべきだった」とも述べた。

支給手続きについては早期支給および感染拡大防止のため、市町村の窓口でなく、郵送やオンラインで行うと述べた。

緊急事態延長、専門家の話を聞いて判断

5月6日が期限となっている緊急事態宣言の延長をするかどうかについては「専門家の話を聞いたうえで判断したい」と明言を避け、5月6日以降の夜の外出自粛継続についても「今から断定できない」とした。

ただ「東京都のきょうの新規感染者は過去最多200人超で、大変厳しい状況」、「人と人の接触を7-8割削減しない限り、新規感染者の大きな減少は困難」とも述べ、延長判断にあたっては「(100年前の)スペイン風邪が、いったん収まった後に再拡大したことなどを教訓にする」と述べた。

緊急事態宣言の全国拡大に関連し、各自治体で大型連休に先立ち観光施設への休業要請などが必要になるとの見方も示した。 航空便や鉄道に対して、政府として減便を要請することはないとも述べた。また、新型コロナウイルスに感染した患者への対応を行っている医師らの待遇に関し、診療報酬の倍増などに取り組む考えを示した。

WHOへの分担金、削る考えない

日本時間16日夜行われた主要7カ国(G7)首脳テレビ会議では、新型コロナウイルス感染症に対して世界各国が世界保健機構(WHO)を中心に協力する必要があると発言したが、WHOは政治的に中立でないとの見方もあり感染終息後、そのあり方を検証すべきと提言したことを明らかにした。ただ、WHOへの日本の分担金を削る考えはないと明言した。

一部で批判の出ている歌手の星野源さんとのコラボ動画に関しては「若い人に外出を控えてもらうため」発案したと説明。「さまざまな批判があるのは承知している。賛否両論あったのだろう」と語った。

(竹本能文)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・東京都で新たに201人の新型コロナウイルス感染確認 1日で過去最多
・新型コロナウイルス、モノの表面にはどのくらい残り続ける?
・コロナ対策の優等生、台湾の評価が急上昇
・イタリア、新型コロナウイルス新規感染者は鈍化 死者なお高水準


20200421issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国、務安空港のコンクリート構造物撤去へ 旅客機事

ワールド

中国の太陽光・風力発電の新規導入容量、24年も記録

ワールド

トランプ政権、沿岸警備隊の女性トップ解任 DEI政

ワールド

トランプ氏、多様性政策撤廃の動き加速 民間部門の調
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピー・ジョー」が居眠りか...動画で検証
  • 4
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    大統領令とは何か? 覆されることはあるのか、何で…
  • 7
    世界第3位の経済大国...「前年比0.2%減」マイナス経…
  • 8
    トランプ新政権はどうなる? 元側近スティーブ・バノ…
  • 9
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 10
    「敵対国」で高まるトランプ人気...まさかの国で「世…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中