緊急事態宣言、東大留学生たちの決断「それでも僕は東京に残る」
僕は日々の作業場所を、以前から通っていたカフェや公文書館、図書館から、自分の小さなアパートの一室に移した。こうした生活を送っているのは、僕だけではない。
都内に住む留学生の仲間たちも同じような生活に切り替えていて、あるアメリカ人の友人は時おり一人で食料品の買い物に出かけるだけで、別の友人は在宅での仕事を始めたそうだ。
僕たちはまた、日本での日常と母国の日常、その大きな落差から受ける衝撃と畏怖について言葉を交わしてきた。
パンデミックの中心地となっているイタリア北部ベルガモ出身の同級生は、日本で陽性者数が増え続けているにもかかわらず、東京の公園で花見をしている集団を見かけて、ひどく当惑したと話してくれた。
彼の父親は、故郷イタリアの病床で新型肺炎と戦った。もしも日本で検査を十分に行った上で陽性者が少ないのであれば、公園で見たことは不運にも陽気な酒盛りに出くわしてしまった、という彼の個人的なエピソードで終わっただろう。だが今、彼も僕もこうした光景を目にすると、日本の未来にイタリアの今を重ねてしまう。
僕たち留学生のうち何人かは、家族が新型肺炎にかかり、故郷はロックダウン(都市封鎖)状態だ。都内に住む留学生の友人たちの大半は、アメリカにも中国にもイタリアにもドイツにも帰らず、日本に留まり続けている。
中国から留学中のある大学院生は、「帰国すれば、陽性の可能性があるほかの患者と一緒に14日間も隔離される」と言う。僕たちは、母国に帰る飛行機の中や、帰国後に隔離された際に感染リスクが増すことよりも、日本に残って感染の波が引くのを待つことを選択した。
4月2日、在日アメリカ大使館は、日本に滞在する米国市民が帰国を希望する際はただちに行動するよう呼びかけた。「日本政府が大規模な新型コロナ検査を実施しないとしたことで、感染者を正確に把握することが困難になっている」という。
このメッセージは、特に一時的に訪日中の米国市民は利用可能な最も早い便で直ちに帰国するか、そうでなければ「不確定期間にわたり国外に滞在する」可能性に備えよ、と警告した。