メルケル首相のスピーチは世界から賞賛されたが、州財務相が自殺するなど混乱も続く
ヘッセン州財務相が自殺
ドイツには105 の公式なホットラインがあるが、かかってくる電話の数は増え続け、オペレーターの対応も限界に達しているようだ。ほとんどの人は、感染の心配よりも、一人でいることの不安や孤独から相談してくるという。25日にはアンスバッハで、1人で留守番をしていた11歳の男の子が寂しさのあまり警察に電話、駆け付けた女性警察官がパンにチョコレートクリームを塗ってあげてなぐさめる、という出来事もあった。
自殺の増加も心配されている。29日にはヘッセン州のシェーファー財務相が自ら命を絶ってしまった。同氏は24日に州議会に新型コロナ危機対策の補正予算案を提示したところだったが、長期での見通しに絶望していたようだ。
トイレットペーパーをめぐり喧嘩、殴られた男性が病院行き(19日、マンハイム)、「コロナをばらまく」目的で地下鉄の券売機やエスカレーターの手すりを舐めた男が逮捕(23日、ミュンヘン)、一緒にビールを飲んでいた同僚の男性が咳をしたために仲間が殴りかかる(18日、ワイマール)など、一瞬耳を疑うような事件も増えている。
増えるDV被害
長引くロックダウンは、家庭内暴力(DV)被害を受けている女性や子供にとって非常に厳しい状況ともなり得る。ヨーロッパでDV発生率が最も高いとされるフランスでは、17日に始まったロックダウン以降、DV被害は全国で30%以上も増加、パリに限っては36%上昇した。当初は11日間の予定だったロックダウンは4月15日まで延長されている。
同様のことはドイツや他国でも考えられる。ドイツのギッファイ家族相は27日、DV被害対策として、ホテルをシェルターとして借り上げることなどを検討していると発表している。新型コロナ危機ではホテルに大量の空きが出ているが、これをホームレスの人々のシェルターとする政策はフランスやカナダなど他国でもとられている。ギッファイ家族相はまた、現在ギリシャに足止め状態となっている難民の子供たちを同様の措置でドイツに保護したいと考えている。
一方、ポルトガルは29日、移民・難民申請者全員に7月1日まで暫定的な市民権を認め、国内のすべての人が新型コロナ関連で必要な治療やサービスを受けられることを可能にした。