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NASAもテレワークで、火星の無人探査車を自宅から操作

2020年4月22日(水)17時30分
松岡由希子

火星探査車「キュリオシティ」を自宅から管理するNASAスタッフ NASA/JPL-Caltech

<NASA職員も在宅勤務となり、3月20日以降は、チームに所属するメンバーがそれぞれの自宅から遠隔で「キュリオシティ」に指令を送り、管理する体制に切り替えられた......>

アメリカ航空宇宙局(NASA)は、2020年3月20日、米国での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、緊急時対応フレームワーク「NASAレスポンス・フレームワーク」で最高レベルのレベル4に引き上げ、すべての施設を原則閉鎖し、職員に在宅勤務を命じた。

自宅から遠隔で「キュリオシティ」が岩石試料を採掘することに成功

2012年8月6日から7年以上にわたり火星のゲールクレーターを探査している無人探査車「キュリオシティ」の運用は、これまで、カリフォルニア州パサデナのジェット推進研究所(JPL)で管理されてきた。通常の職場環境について、チームリーダーである天文物理学者のアリシア・アルバー博士は「私たちはみな、同じ部屋にいて、画面や画像、データを共有しています。少人数のグループが部屋のあちこちでよく話をしています」と述べている。

3月20日以降は、チームに所属するメンバーがそれぞれの自宅から遠隔で「キュリオシティ」に指令を送り、管理する体制に切り替えられた。2日後の22日には、指令どおり、「キュリオシティ」が「エジンバラ」と呼ばれる地点で岩石試料を採掘することに成功している。

チームでは、通常の職場環境をオンラインで再現するべく、ビデオ会議やチャットを使って、メンバー全員で情報や課題を共有し、意思疎通をはかっている。そのため「キュリオシティ」の運用計画に要する時間が平均で1時間から2時間程度長くなり、「キュリオシティ」に送る指令の数を制限せざるをえなくなっているものの、業務はほぼ通常どおり遂行されている。

専用3Dゴーグルはシンプルな赤青の3Dメガネを代用

在宅勤務にあたり、メンバーには、ヘッドセットやモニターなどの機材が支給された。ただし、火星の地表の状況を把握するために通常の業務で使用している専用3Dゴーグルは高性能コンピュータの高度なグラフィックスカードを要するため、在宅勤務では、シンプルな赤青の3Dメガネを代用している。

PIA23773-16bb.jpgNASA/JPL-Caltech

チーム全員が在宅勤務を余儀なくされるなか「キュリオシティ」の運用が継続されているのは、NASAらしい「なせば成る」精神によるものだ。チームに所属する天文物理学者のキャリー・ブリッジ博士は「問題が与えられれば、どうすれば物事がうまく機能するのかがわかります。火星は私たちのために静止してくれません。我々はまだ探査中です」と述べている。

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