コロナ対応医療関係者への給料3倍:中国は2003年から法制化
この意見の「六」では、上述の条例(2003年5月7日)と改正された法律(2013年6月29日)に基づき、一刻も早く伝染病医療従事者に対する補償制度を具体的に決定せよという趣旨の指令を出している。危険度(自分自身が感染するかもしれないというリスクの大きさ)や従事時間の長さなどに応じた具体的な数値を出すように命じたわけだ。
2016年、最前線医療従事者の補償金額などを決定
こういった流れを受けて、2016年に当時の中央行政省庁の一つであった「人力資源と社会保障部」が「伝染病流行防治人員臨時業務補助を決定することに関する通知」(人社部規[2016]4号)を発出した。この人社部の法規[2016]4号により、ようやく具体的な補償金額が明示された。
但し、2018年3月の全人代(全国人民代表大会)で国務院機構改革が承認され、全ての中央行政省庁に対して編集替えを行った。そのときに「人力資源と社会保障部」は解消して、「退役軍人事務部」(一部の退役軍人に関する業務)や「国家医療保障局」(医療保障制度を管轄)などに業務の一部を移管し、別途「国家衛生健康委員会」を設立した。
これ以降、伝染病の予防治療に関する司令塔は「国家衛生健康委員会」が担当することとなった。
最前線の現場で命を懸けて患者の治療に当たっている医療従事者に対する保証は、「平常の給金の3倍」を与えることを基本として、「全ての医療従事者への一日当たり300元から200元の補助金を2倍にして別途与える」(1人民元=15.18日本円)こととなった。
さらに第一線で働いた医療関係者はみな一律に「英雄」として位置づけることとなっている。そんな、何にもならない「名誉」などもらっても役に立たないと思うかもしれないが、実は「英雄」として位置づけられれば、その後の人生における「年金」や「福祉」などに関して、さまざまな優遇策があり、「実益」を伴っていることは注目に値する。
もっとも、全世界の第一線でコロナ患者の治療に当たっている医療関係者は誰もが「自分が助けなければならない」という使命感に燃えており、そこには無私の信念があり、心から敬意を抱く。