イギリス人の対コロナ意識を変えた2つの出来事
EMERGENCY NOW VERY REAL
イギリスでは記録的な長雨が半年間続き、寒波の再来もあって、ようやく美しい春を迎えた。何週間も自宅に閉じ籠もっていた人々が、外に出て日差しを楽しんでいる。マット・ハンコック保健相は4月5日、ルールを無視して日光浴にいそしむ人がいるせいで、1日1回の外出さえ禁止になるかもしれないと警告した。私はそれを聞いて、イギリス人が暴動を起こす日も近いかもしれないとさえ思った。
全ての国と同じように、イギリスでも毎日、感染者数と死者数が発表されている。暗たんとした気持ちになる日課だが、自分の身近な人が実際に亡くなるまでは、単なる統計の数字でしかないのだろう。
しかし、ここにきて国民の意識が変わりつつある。エリザベス女王が68年の在位で5回目となる異例のテレビ演説を行った。そして、コロナに感染したジョンソンが入院し、一時は集中治療室にいると報じられた。「自分は大丈夫だろう」と思っていた人々も、地位も何も関係なく、誰が感染してもおかしくないと気付いた。
危機は紛れもない現実になったのだ。
UKIP元党首。1982年、大学に進学せずロンドン金属取引所のトレーダーに。投資銀行員時代の1993年、独立党結党に参加。EU離脱運動の旗振り役となる。1999年欧州議会議員。2018年に独立党を離党し、現在は2019年に結党したブレグジット党の党首。
<2020年4月21日号掲載>
【参考記事】イギリス人がパブにも行かず自宅待機するのはある理由から
【参考記事】ロックダウンで脅かされる命もある
2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。