感染が広がるロシアで1兆4400億円以上の預金が引き出されている
有事の際には現金が重要だが ANDREY RUDAKOV-BLOOMBERG/GETTY IMAGES
<ロシア人にとって有事の際に重要なのは現金。しかし、そこから次なるリスクが......>
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界各国で食料品やトイレットペーパーの買い占めが起きている。
だがロシア人にとって、有事の際に何より重要なのは現金。3月上旬からの7週間で、1兆ルーブル(約1兆4400億円)以上が銀行口座から引き出された。昨年1年間の引き出し総額を上回る額だ。
ロシア政府は3月下旬まで国内の感染は深刻な事態に至っていないとしていたが、その後に感染者数が急増。
プーチン大統領が、100万ルーブル(約144万円)以上の残高がある銀行口座の利息への課税や外出禁止の延長といった対策を表明するたびに、引き出し額が跳ね上がるという光景が繰り返されている。
だが、現金への過度の依存はコロナ対策の足を引っ張りかねない。ロシア連邦消費者権利保護福利監督庁は、紙幣に付着したウイルスが数日間生存している可能性があるとして、キャッシュレス決済を利用するよう国民に呼び掛けている。
<2020年5月5日/12日号掲載>
2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。