親中? 失策? 資金拠出停止に直面するWHOとはどんな組織か
誰が拠出するのか
拠出金には義務的な「分担金」と、自発的な「任意拠出金」の2種類がある。WHOの予算は2年制だ。2020-21年予算は約48億5000万ドルで、その前の2年間から9%増えた。
分担金は、加盟国の富や人口など経済規模に応じて計算される。
任意拠出金は、拠出者がしばしば、特定の地域ないし、ポリオ(小児まひ)やマラリア、貧困地域の乳幼児死亡といった特定の疾病・症例への対応を目的に決める。
慈善活動財団や、欧州連合(EU)の欧州委員会といった多国間で構成される機関も主要な拠出者だ。
米国は分担金と任意拠出金と合わせて最大の拠出国で、19年末までに18─19年分として8億ドル超を拠出した。
米マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏と妻の慈善団体、「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」の拠出額が2番目に多く、3番目は英国だ。
過去の主な成功と失敗
WHOが広く信頼を勝ち取ったのは、1970年代に行った10年に及ぶ天然痘根絶の活動だ。ポリオ根絶の世界的な取り組みも主導しており、これは最終の段階に差し掛かっている。
ここ数年は、コンゴ(旧ザイール)のエボラ出血熱やブラジルのジカ熱に対しても調整役を担っている。
現在の新型コロナでは、WHOの指導力は多方面から称賛されているが、トランプ米大統領からは、中国寄りで、拡大の初期段階に間違った助言をしたと非難されている。
トランプ氏は今週、WHOが「基本的な職務に失敗した」とし、米国の拠出停止を表明した。この発表は世界の多くの指導者から批判を呼んでいる。
WHOは過去に、09─10年の新型インフルエンザ流行に過剰反応したとして非難されたことがある。14年の西アフリカでのエボラ出血熱発生に対しては、十分に迅速な対応をしなかったとの批判が広がった。このときのエボラ出血熱死者はその後、1万1000人を超えた。
[ロンドン ロイター]
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