パンデミックの拡大局面変えるか 新型コロナウイルス抗体検査に希望の光
免疫は数カ月か
抗体検査の可能性が前面に出てくる一方で、トランプ米大統領は今後数週間のうちに、人が集まる機会を減らす「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)」と「自宅待機」の勧告を緩和することを検討している。トランプ大統領支持派のあいだでは、こうした政策は米国経済に与える打撃が大きすぎると主張している。米国民の約半数が自宅待機を命じられており、多くの学校・企業が期間を定めずに閉鎖中だ。
24日、トランプ大統領は「復活祭(イースター)までには米国経済を再開したい」と述べた。
だが、さらなる感染拡大を引き起こす恐れなしに各種機関や企業の活動を再開することは難しい。国内の大半の地域で、新型コロを診断するための検査が不十分だからだ。
23日、ホワイトハウスの新型コロナウィルス対策特別チームのデボラ・バークス博士は、指先から血液を採取するシンプルな抗体検査が重要な役割を果たす可能性があり、連邦政府はCDC版の抗体検査の完成を待つつもりはない、と述べた。
バークス博士は23日のホワイトハウスにおける記者会見で、「すでに開発されたものもいくつかある。シンガポールで使われているものにも注目している」と述べた、「品質を非常に重視している。偽陽性は好ましくない」
この場合の「偽陽性」とは、実際には免疫がないのに「ある」という結論に至りかねない誤判定を言う。
「ストレイツ・タイムズ」紙の報道によれば、米デューク大学とシンガポール国立大学(NUS)の提携によるデュークNUSメディカルスクールの研究者らは、約90%の精度を示す抗体検査を迅速に開発し、その後、さらに信頼性の高い高度なバージョンを導入したという。
感染症の専門家は、2003年に出現したSARS(重症急性呼吸器症候群)など他のコロナウィルスに関する研究を参考に、COVID-19に対する免疫は数ヶ月、あるいは1年以上維持されるのではないかと話している。ただし彼らは、COVID-19に関して免疫がどれくらい続くのか正確に知る方法はなく、個人差もありうるだろうと警告している。
アイオワ大学教授のスタンリー・パールマン博士(微生物学・免疫学)は「数ヶ月は免疫が維持されるかもしれない」と言う。「だが正直なところ分からない。これは非常に重要な問題だ」
パールマン博士は、現在市場に登場しつつある新たな抗体検査の多くは、非常に効果的かもしれないが、研究者らはそれを裏付けるためにデータを見たがっていると話す。
「すでに感染した人を全員見つけられるくらい感度が高いことが望ましい」とパールマン博士は言う。「だが、他のコロナウィルスまで検知してしまうような手当たり次第のものは困る」
(翻訳:エァクレーレン)
[ロイター]
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