最新記事

感染症対策

オーストラリア、強制検疫を導入 帰国者の自主隔離確認に軍配備へ

2020年3月27日(金)16時20分

オーストラリア政府は、新型コロナウイルス感染対策として、海外からの帰国者への強制検疫を導入するとともに、自主隔離対象者の状況を確認するために国防軍を配備する。写真はシドニーのオペラハウス前。26日撮影(2020年 ロイター/Loren Elliott)

オーストラリア政府は、新型コロナウイルス感染対策として、海外からの帰国者への強制検疫を導入するとともに、自主隔離対象者の状況を確認するために国防軍を動員する。

モリソン首相は27日のテレビ会見で、海外から航空機で到着した帰国者は到着地のホテルでの2週間の隔離が義務付けられると説明。これまで義務付けていた自宅での自主隔離措置から一段と厳格化させた。

首相は、同国で確認された新型コロナ感染者3000人あまりのうち、約3分の2を帰国者が占めており、「次第に帰国者のリスクが増している」と述べ、解消すべき「最大の課題」だとした。

オーストラリアはすでに、すべての外国人の入国を禁止している。

首相はまた、自宅での自主隔離を指示された人々がルールを守っているか確認するため国防軍を動員すると発表。街中に軍を派遣するのは異例の措置だ。

オーストラリアでの新型コロナによる死者は累計13人。同国全体での感染率は他の多くの国よりかなり低い。だが、当局は、とりわけ人口の集中するニューサウスウェールズ(NSW)州やビクトリア州における過去1週間での感染ペースの加速を懸念している。

政府のチーフメディカルオフィサーを務めるブレンダン・マーフィー氏は27日の会見で、公衆衛生の観点からは市中感染の急増を防ぐことが最優先だと発言。同じ会見で帰国者の扱いが最大の課題と述べた首相と異なる見解を示した。

モリソン政権は学校での授業を続けるべきとの立場で、欧州諸国のような全面的な移動制限には踏み込んでいない。

ただ、NSW州とビクトリア州の首相らは、必要に応じて制限を強化する用意があると表明している。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・欧州当局「新型コロナウイルス、夏に終息の公算小 高温多湿でも活発」
・新型コロナウイルス感染症で「嗅覚がなくなる」という症例が多数確認される
・新型コロナ、急がれる医薬品開発──抗ウイルス薬やワクチンがなかなかできないのはなぜ?


20200331issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月31日号(3月24日発売)は「0歳からの教育 みんなで子育て」特集。赤ちゃんの心と体を育てる祖父母の育児参加/日韓中「孫育て」比較/おすすめの絵本とおもちゃ......。「『コロナ経済危機』に備えよ」など新型コロナウイルス関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

CFPBが米大手3行提訴、送金アプリ詐欺で対応怠る

ワールド

トランプ氏、TikTokの米事業継続を「少しの間」

ワールド

ガザ北部の病院、イスラエル軍による退去命令実行は「

ワールド

独クリスマス市襲撃、容疑者に反イスラム言動 難民対
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能…
  • 5
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 6
    「私が主役!」と、他人を見下すような態度に批判殺…
  • 7
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 8
    「オメガ3脂肪酸」と「葉物野菜」で腸内環境を改善..…
  • 9
    「スニーカー時代」にハイヒールを擁護するのは「オ…
  • 10
    「たったの10分間でもいい」ランニングをムリなく継続…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 4
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 5
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 8
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 9
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 10
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命を…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中