中国の無症状感染者に対する扱い
14日後に相変わらず陽性で症状が出ない者は隔離を続ける。陽性で症状が出れば、当然「患者」となるので、治療病棟に入院させる。
隔離先も入院先も基本的には鍾南山の提案で突貫工事により建てられた方艙医院(コンテナ病院)だ。今では閉鎖されてしまったが、武漢だけでも6万ベッド数あったので、既存の病院と合わせれば医療崩壊を起こさず受け入れることができた。
武漢以外の地域では、たとえば貴州省貴陽市で3月17日に海外から戻ってきた者1名が無症状陽性であることが判明した。この場合は、軍山医院という所に入院させている。
因みに国家衛生健康委員会のHPによれば、最大ピーク時(2月7日)には濃厚接触者数は18万9千660人だが、3月1日の濃厚接触者数は4万6千219人で、3月24日の濃厚接触者数は 1万3千356人となっている。したがって、これから発症して「確定患者」になり得る候補者が相当数いることになる。
その意味で、ここのところ、湖北省や武漢で新規患者数が「ゼロ」であるということが報じられていても、まだ「患者候補者がいるのではないか」ということになるのは事実だと考えていいだろう。特に最近は海外から戻ってくる「逆輸入」患者が湖北省以外で増えている。
3月25日現在における中国の累計患者数は8万1千218人で、累計退院者数は7万3千650人。したがって現在の入院患者数は7,568人である。
中国における、この無症状感染者の推移と対応は、これからの日本における感染の拡大を抑えるために、いくらかでも参考になる部分があるかもしれない。
習近平が人類にコロナ・パンデミックをもたらした真犯人であることに違いはないが、今はともかく日本で感染爆発が起きないように祈るのみだ。
(なお、本コラムは中国問題グローバル研究所の論考から転載した。)
[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』(遠藤誉・田原総一朗 1月末出版、実業之日本社)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』(11月9日出版、毎日新聞出版 )『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。