もし開催でも、アメリカは東京五輪をボイコットすべきだ
日本に到着した聖火を出迎える大会組織委員会の森喜朗会長(左) ISSEI KATO-REUTERS
<新型コロナウイルス・パンデミックの真っ最中に大規模な国際イベントを開催することがいかに無謀か。アメリカの五輪ボイコットは前例のないことではない>
新型コロナウイルスが引き起こした大混乱の中で、つい忘れられがちな出来事が3月20日にあった。五輪の聖火が日本に到着したのだ。
コロナウイルスは人々の生活や各種イベントの計画に大打撃を与えている。スポーツも例外ではない。だが2020年東京五輪に関しては、7月の開催当日までに状況が好転するのではないかという楽観論が根強く残っている。
安倍晋三首相は3月17日の記者会見で、人類がウイルスに打ち勝つ証しとして五輪を開催したいと語った。ちょうど同じ日、日本オリンピック委員会(JOC)の副会長を兼務する日本サッカー協会の田嶋幸三会長がコロナウイルスの感染検査で陽性と判明。世界中のサッカー関係者が大急ぎで田嶋との接触があったかどうかを確認する羽目になった。
この一件だけでも、パンデミック(世界的な大流行)の真っ最中に大規模な国際イベントを開催するのがいかに無謀か分かりそうなものだ。既に東京五輪の中止または延期を求める声が各方面から上がっている。もしIOC(国際オリンピック委員会)が賢明な判断を下せないのであれば、米オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)はボイコットを宣言すべきだ。
今やアメリカ国内のスポーツ・イベントは軒並み中止または延期されている。レスリング、ボート、飛び込みなど、一部の五輪予選も延期が決まった。USOPCもコロナウイルス感染拡大への懸念を理由に2カ所のトレーニングセンターを閉鎖したが、東京五輪については今のところ参加する前提で動いているようだ。多くの選手たちも、まだ日本行きを諦めていない。今月、何人かのレスリング選手は既に五輪予選を戦った。ビーチバレーのペアは五輪出場資格を得るためオーストラリアに向かう予定だったが、大会は直前で延期された。18日には、東京大会で初実施される空手の女子代表が決定した。米陸上連盟は今も6月の五輪予選開催を目指す姿勢を変えていない。
アメリカの五輪ボイコットは前例のないことではない。40年前の今月、当時のカーター大統領はソ連のアフガニスタン侵攻を理由に1980年モスクワ大会のボイコットを発表した。
日本では19日、最も影響が大きかった北海道でコロナウイルスの爆発的な感染拡大は回避されたとして、緊急事態宣言を終了した。だが、感染者が再び急増する事態がないとは言い切れない。現に同じアジアの韓国、中国、シンガポールは、感染拡大の第2波に直面している。