一斉休校で大打撃を受けた、地域の医療・福祉サービス
一斉休校は社会の様々な分野に影響を及ぼしているが…… xavierarnau/iStock.
<医療・福祉の現場では、子を持つ母親世代の女性が主力を担っており、今回の一斉休校で大きなダメージを被っている>
新型コロナウイルス感染防止のため、3月2日から全国の学校で一斉休校(一部自治体を除く)が始まり、共働き世帯が悲鳴を上げている。NPO法人「フローレンス」の調査によると、高校生までの子を持つ親の7割が「困っている」と回答したという。
世の中の歯車も狂い出している。小学校低学年の子がいる労働力(主に母親)が自宅に釘付けとなり、出勤できなくなっているためだ。診療を縮小する病院や、登園自粛を求める幼稚園・保育所も出てきた。よって乳幼児がいる親も自宅に縛られ、その分の労働力が減り、社会の随所で機能縮小(停止)が起きている。
一斉休校を決めた政府は、小さな子がいる世帯として「父正社員+母主婦」という伝統家族をイメージしていたのかもしれないが、今はそういう世帯は少数派だ。<表1>は、30~44歳の母親(766万人)の労働力状態を見たものだ。対象は小学校低学年の子がいる年代で、三世代世帯の人は含まない。
全体の3割が非労働力(多くが主婦)で、67.9%が仕事をしている就業者(A~T)となっている。現在では、ワーキングママがマジョリティだ。奇しくも、一斉休校で困っていると答えた親の割合(前掲、フローレンス調査)と近い比率になっている。
どういう産業で働いているかを見ると、最も多いのは医療・福祉で、その次は卸売・小売業となっている。前者は、看護師・保育士・介護士等が多いとみられる。低学年の子がいる年代の母親の15.8%(6人に1人)が医療・福祉の現場で働いているが、この労働力が自宅に釘付けにされるのは痛い。診療を縮小する病院、休園になる保育所も出てくるはずだ。