ベトナム、日本には強硬だが、中国には黙る韓国政府の対応に疑問の声
入国制限への抗議を理由とする大使の呼び出しは日本だけ
日本政府は3月5日、同月9日から月末まで韓国と中国からの入国者に指定場所で2週間の待機を要請するなど入国制限を発表した。
航空機は到着空港を成田空港と関西空港に限定し、船舶も旅客運送の停止を要請、査証免除を停止し、両国にある日本国大使館や総領事館が発給した査証の効力を停止する内容で、14日間の待機と交通機関の利用自粛は日本人にも適用される。3月の帰任が決まっていた駐在員の一部は予定を繰り上げ、実施前の3月8日に帰国した。
韓国外交部は、同日夜に日本大使館の相馬弘尚総括公使を呼び、翌6日には康京和外交部長官が冨田浩司駐韓日本大使を呼んで抗議した。日本大使の呼び出しと抗議は第1次官の役目で、外交部長が大使を呼ぶのは異例であり、また同じ事案で大使館の高官を2人呼ぶのも異例である。ベトナム大使への抗議はアシアナ機への着陸不許可が主題で、入国制限への抗議を理由とする大使の呼び出しは日本だけである。
日本政府が中国と韓国からの入国制限を発表した翌3月6日、韓国外交部の趙世暎(チョ・セヨン)第1次官は会見で対抗措置を取ると述べ、9日から実施。9日0時から日本人の査証免除を中断し、発行済み査証の効力を停止した。外国人登録等が有効な人を除く日本旅券所持者は「健康状態確認書」を提出して、再度申請しなければならず、日本から入国するすべての外国人に対し、特別入国手続きを実施する。自国民も対象とする日本に対し、韓国人を対象とする措置はない。
中国人の入国は湖北省を除いて制限していない
ベトナムを非難し、日本に強硬な対抗措置を取る韓国政府だが、一方で、中国人の入国は湖北省を除いて制限していない。中国政府は公式には韓国人の入国を制限していないが、北京市や上海市、広東省など半数を超える19の省や市が韓国からの入国者は14日隔離し、駐韓中国大使館は査証の発給を事実上中断している。
1000人を超える韓国人が中国国内で強制隔離されたことを受け、外交部は中国大使を呼んで「面談」したが、抗議は行なっていない。青瓦台に提起された中国人の入国禁止を求める請願に76万人が同意し、リアルメーターが実施した調査でも過半数が中国人の入国禁止を求めている。日本には「相互主義」を主張して厳しく対抗する一方、中国に対応しない政府を批判する声が野党やマスコミ、国民の間から上がっている。