新型肺炎の流行地にウイグル人労働者を送り込む中国政府の非道
CHINESE FORCED LABOR EXPOSED
自治区内でマスク製造に従事するウイグル人(1月27日) CNSPHOTO-REUTERS
<感染を恐れて中国人労働者が集まらないのを補塡するため、各地の工場にウイグル人が派遣されている>
世界のトップ企業に供給される部品を製造する中国の工場では2017年から19年にかけて、新疆ウイグル自治区の収容施設から移送された8万人ものウイグル人が強制労働させられている──。シンクタンクのオーストラリア戦略政策研究所が3月1日に発表したレポートが世界に波紋を広げている。
レポートはウイグル人の強制労働が行われているのは「アップル、BMW、ソニー」の関連工場だと言及しているが、この動きは新型肺炎の拡大後、違う形で加速している。
同自治区のニュースサイト「天山網」は3月4日、「私たちは元気で暮らしています──新疆生まれの労働者たちの声」と題する記事を配信した。それによると「2月23日、97人の若者が専用機でアクスから杭州に行き、杭州日月電器有限公司で働くようになった」。この工場は電気コネクタなどを生産しており、生産品の80%以上をアメリカや日本、フランスなどに輸出している。杭州は浙江省の省都であり、浙江省は湖北省に次ぐ新型肺炎の流行地となった場所だ。
さらにその記事は「2月27日と29日、ホタン市とその周辺から185人が福建省晋江市に赴き、スポーツシューズ製造工場で労働を始めた」「ホタン地区グマ県からは3月1日、169人が出発し、その日の晩に山東省青島市の聯洋水産品有限公司に到着した」とも記している。また新華社通信の記事には「2月27日、ホタン市とカラカシ県の353人の農民が飛行機で広西チワン族自治区の南寧市と福建省晋江市に赴いた」とある。
いずれも「新型肺炎の検査を経て、健康に問題のない者たちが貧困脱出のために出稼ぎに出た」ことが記されている。さらに人民日報ネット版の1月13日の報道では、カシュガル地区マルキト県から1025人のウイグル人が、新型肺炎の蔓延する湖北省や北京などに派遣されたことが、はっきり記されている。
1月から3月にかけての官製メディアの報道を分析すると、新型肺炎が蔓延する湖北省や隣の湖南省、中国沿海の工業発展地域に南新疆出身のウイグル人が「出稼ぎ」に出されていると分かる。彼らは当局の管理の下、飛行機で大量移送させられている。