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中国人全面入国規制が決断できない安倍政権の「国家統治能力」

2020年3月2日(月)11時45分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

その国に対する評価の是非を別として、少なくとも自国民を守るという面においては、この「冷徹なほどの毅然さ」は絶対不可欠だ。

安倍首相にはそれができない。

これでも「独立国家」なのかと情けなくなる。

習近平に「一つの中国」を絶対遵守しますと誓い、絶対に独立を認めませんと安倍首相が習近平に対して宣誓しているあの台湾でさえ、自国民を守るために、なんと決然とした選択をしていることか。

中国大陸からの入境者を一律禁止した台湾の蔡英文総統

蔡英文政権は1月15日に新型肺炎を「法定感染症」に定め、2月5日には、香港・マカオを除く中国大陸住民の台湾への入境を全面禁止している。同時に台湾から中国大陸への渡航も禁止した。

経済効果を考える一部台湾住民からの批判はあったが、それでも毅然として方針を変えなかった。

湖北省に在住する台湾人をどう扱うかに関しても、その動き方が凄い。

2月3日に中国東方航空が247人の湖北省在住の台湾人を帰還させたのだが、その中に一人の感染者(陽性)がいたことが台湾に着いた後に判明した。台湾側は搭乗前に陰性でなければ帰還させないと要求していたが、陽性が一人紛れ込んでいたために、その後の台湾帰還を全て拒絶している。台湾側が提出した帰還者名簿と大陸側が搭乗させた乗客名簿が一致してないなど(さまざまな紛糾)もあったが、結果的に2月27日現在で1,148人の台湾人が湖北省に留まったままである。蔡英文政権は受け入れを拒絶しているのである。

同胞を見捨てるのかという批判は当然出て来るだろう。しかし蔡英文は怯まなかった。感染者を何としても抑えるために、何をどう批判されようと曲げずに感染拡大を防いだために、蔡英文総統の支持率が68.4%にまで急上昇している(台湾民意基金会データより)。蔡英文政権の防疫対策に関しては75.3%が「80点以上」と絶賛し、平均点は84.16点という高得点だ。

習近平を国賓として招くことを最優先課題としている安倍首相とはなんという違いだろう。

絶対に自国民を守ることを最優先課題にするという決断と、毅然とした統治能力の問題だ。

中国の特別行政区であるマカオでさえ

北京政府の管轄下にある中国特別行政区のマカオにおいてさえ、その行政区範囲内での統治者としての統治力は大きい。

3月1日付けのマカオ新聞は「マカオ、25日連続で新型コロナの新規感染確認ゼロ...累計患者数10人中8人が治癒し退院=来週末にも湖北省に残るマカオ人帰還用の救援機派遣へ」という見出しで、マカオの現状を報道している。マカオでは2月4日以来、25日間連続で新規感染者がゼロとなったとのこと。

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