新型コロナウイルス感染症はいつ、どう終息するのか
Can Coronavirus Be Stopped and How Have Other Pandemics Ended?
消毒作業中のニューヨークの地下鉄 Eduardo Munoz-REUTERS
<ビル・ゲイツが「100年に1度のパンデミック」と警告する事態に不安が広がっている>
新型コロナウイルス(COVID-19)はこの2カ月で南極を除く世界の全ての大陸に広がった。「100年に1度」のパンデミック(世界的大流行)との警告も聞かれ、不安が広がるなか、いつ、どんな形で終息するかに関心が集まっている。
新型ウイルスは中国湖北省の武漢で昨年12月に出現した。最も深刻だった中国の感染の勢いがここへきて弱まってみえる一方、イラン、イタリア、韓国などが新たなホットスポットとして浮上。3月3日時点でアルメニア、チェコ、ドミニカ共和国、ルクセンブルク、アイスランド、インドネシアで初の感染者が報告され、60を超える国と地域に感染が広がっている。アメリカでも感染者が100人を超え、死者は6人に上るなか、米疾病対策センター(CDC)は、問題は国内に感染が広がるかどうかではなく、「いつ」広がるかだと警告した。
ゲイツの危機感
感染が広がりやすく、高齢者だけでなく健康な成人が死亡するケースもあるため、マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツは2月末、このウイルスは「かなりの程度、私たちが懸念してきた100年に1度の病原体のように振る舞っている」と警告し、貧困国の医療体制への支援が必要だと訴えた。世界保健機関(WHO)はまだパンデミックを宣言するには至っていないが、ゲイツは既にパンデミックが起きているとの見方を示した。
ゲイツは新型コロナウイルスの致死率が1%と言われていること(2%以上との見方もある)にも懸念を示した。この数字は、1957年に大流行したアジア風邪(致死率0.6%)と1918年のスペイン風邪(同2%)の中間に位置する。いずれもインフルエンザのパンデミックで、前者では世界で110万人、後者では少なくも5000万人の死者が出た。
インペリアル・カレッジ・ロンドンの臨床上級講師・名誉コンサルタントを務める感染症の専門家クリストファー・チューによると、新型コロナウイルスの流行がパンデミックかどうかは言葉の問題で、実態としては、流行の震源地に渡航経験がない人、あるいは渡航者との濃厚接触がない人の感染が確認された段階で「パンデミックの定義に近づきつつある」と見ていい、という。
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