新型コロナウイルス感染拡大にも慌てないフランスの手腕
H1N1インフルエンザ対策で4期に分けた対策が立てられたが、今回の新型コロナウイス対策にも援用されており、国民にも今どの段階にいるのか周知されている。
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Plan national - Pandémie grippale - 2011、SGDSN
これまでのフランスの対応を、時系列で追った。
1月24日、武漢に滞在歴のある中国系フランス人が3人発症し、第1期(日本の厚生省の国内発生早期)に入った。
2月13日、ORSAN REB(既知または新興の伝染および生物学的リスクに対する例外的衛生状況における保健システム対応の組織)が発動される。
ORSANは2014年に「白プラン」を拡充して、1)事故・火災など、2)洪水など気候現象、3)伝染病、4)生物学的リスク、5)原子力・放射能・化学リスクの5種類の医療衛生上の緊急事態対策をまとめたものである。
その後、イタリアでの感染拡大を受けて、検査が強化された。それまでは、救急が必要と判断した症状のある者、濃厚接触の疑いのある者、感染地からの渡航者、にかぎられていたものを、感染した児童がいる学校全体や近隣住民に広げ、一般の医師からの求めにも応じることになった。1日400件だったキャパシティは数千にふやした。そのため2月25日には13人だった感染者が、27日には38人と3倍になった。
挙国一致で対応
第2期(日本の厚生省感染拡大期)に入ったと認識されると、新対策が、2月29日の臨時閣議で決定された。
クラスターでは感染地と周辺の市町村あるいは県単位で学校の休校、市場などの閉鎖、50人以上の集会禁止、検査の強化がおこなわれた。また全国規模で5000人以上の閉鎖空間での集会禁止。そのほかのものは主催者判断に任されるが、見本市など次々に中止や延期になっている。ただし、サッカーは通常通りにおこなわれている。年金改革反対デモも決行された。
これに先立つ27日、エドゥアール・フィリップ首相は全与野党の党首と両院議員団長を首相官邸に集めて2時間にわたる協議を行った。国会は年金問題を巡って厳しく対立しているが、メディアの取材を受けた参加者は右から左まで挙国一致を強調した。
政府も敏感に反応している。たとえば、3月3日には医療関係者用のマスク備蓄在庫から1000万枚を放出。4日にはマスク徴発(「徴用」とも訳されている)が発令された。国内のすべてのマスクの在庫と5月31日までに生産される分は国家管理となり、医療関係者と感染者に配布される。別の病気で必要な人も医師の診断書がなければ薬局で買えない。