最新記事

感染症対策

米国とカナダ、国境を閉鎖 新型コロナウイルス対策で30日間

2020年3月19日(木)11時15分

カナダと米国は18日、国境を一時閉鎖し、不要不急の往来を認めないと発表した。写真は3月18日、ケベック州ラコールで撮影(2020年 ロイター/Christinne Muschi)


カナダと米国は18日、国境を一時閉鎖し、不要不急の往来を認めないと発表した。トランプ米大統領は、医療機器の生産を急がせるとともに、多数の新型コロナウイルス感染者が出たニューヨーク州の沖に米軍の病院船を派遣すると表明した。

この日の米国株式市場は新型コロナウイルスを巡る懸念から急反落し、ダウ平均<.DJI>は1338ドル下落して2017年のトランプ大統領就任以降に記録した上げを全て失った。S&P総合500種は5.2%安。2月19日の終値ベースの最高値から約29%下落している。

トランプ大統領はホワイトハウスで会見し、新型コロナウイルス対策で防衛生産法(DPA)を発令すると発表。マスクや人工呼吸器など、新型コロナ封じ込めに向けた取り組みで必要な備品の生産を加速させる特別権限の行使を可能とする。同日中に署名する見通し。病院船を新型コロナの感染が深刻なニューヨークに派遣し、2籍目を米西海岸に派遣する計画も明らかにした。

新型コロナの感染が拡大するなか、米国では検査キットやその他の医療機器が不足し、トランプ政権の初期対応が遅過ぎたとの批判が高まっていた。

トランプ大統領は、メキシコとの国境を違法に越えようとする移民を米当局が強制送還できるようにする法律も発令する意向を示した。

メキシコとの国境は閉鎖しないと述べ、カナダとの国境閉鎖は30日間とすることで両国が合意しており、貿易に影響はないとした。

カナダのトルドー首相はオタワで記者団に、娯楽や観光目的で米国との国境を越えることはもうできないと述べたうえで「2国間のサプライチェーンを維持することが極めて重要だと、両国政府は認識している。食料、燃料、命を救うための医薬品がどちらの国の人々にも確実に行きわたるようにする」と語った。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルスの「0号患者」を探せ!
・イタリア、新型コロナウイルス感染3万人突破・死者2503人
・米研究所が警告「新型コロナウイルス、空中で数時間生存」


20200324issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月24日号(3月17日発売)は「観光業の呪い」特集。世界的な新型コロナ禍で浮き彫りになった、過度なインバウンド依存が地元にもたらすリスクとは? ほかに地下鉄サリン25年のルポ(森達也)、新型コロナ各国情勢など。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米信用スプレッド、24年9月以来の高水準 景気後退

ワールド

ウクライナ、ロシア国内の足場喪失目前 クルスク州一

ビジネス

FRB利下げ、6月再開との観測高まる CPI伸び鈍

ビジネス

米CPI、2月前年比+2.8%・前月比+0.2% 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 3
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「腸の不調」の原因とは?
  • 4
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 5
    スイスで「駅弁」が完売! 欧州で日常になった日本食、…
  • 6
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 7
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 8
    トランプ=マスク独裁は許さない── 米政界左派の重鎮…
  • 9
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 10
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 4
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 5
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 10
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中