サッカー次世代の星は19歳「モンスター級」のハーランド
The Blond Beast of the Bundesliga
ハーランドの得点力は規格外(欧州チャンピオンリーグのパリ・サンジェルマン戦) ALEXANDRE SIMOESーBORUSSIA DORTMUND/GETTY IMAGES
<独ドルトムントで大ブレイク中のノルウェー人FWアーリング・ハーランドは、得点力もスピードも見た目も迫力もモンスター級>
サッカー界ではリオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドという2人のスーパースターの時代が長く続いている。世代交代を想像するのも難しいくらいだが、一時代を画した2人もいつかは引退する時が来る。
では、次の時代のサッカー界の「顔」になる選手は誰なのか。2月18日、欧州チャンピオンズリーグの試合で対戦したパリ・サンジェルマン(フランス)のキリアン・エムバペ(21)とドルトムント(ドイツ)のアーリング・ハーランド(19)は、まさに筆頭候補と言えるだろう。
エムバペはプロデビューした2016~17年シーズンから注目されていたが、大スターの座に駆け上がったのは18年のワールドカップ。19歳の若さでフランス代表を優勝に導いた。
昨シーズンはフランス1部リーグで33ゴールを記録した。足がボールを捉えると、映画のスタントマンさながらの妙技を見せる。
一方のハーランドはノルウェー出身。194センチの大柄な選手で、今シーズンは規格外の破壊力を見せつけている。
シーズン初めはオーストリア1部リーグのザルツブルクに在籍し、リーグ戦14試合に出場して16ゴールを挙げた。チャンピオンズリーグ初出場となった試合ではハットトリックを達成。今年1月にドイツ・ブンデスリーガのドルトムントに移籍、最初の3試合で7得点を挙げた(そのうち2試合は途中出場だった)。
名門マンUへ行かずに
いかにも北欧系らしいブロンドの大男で、映画で言えばロッキーの敵役のイワン・ドラゴや『ブレードランナー』に出てくる人造人間のロイ・バッティを思い起こさせる。マンチェスター・ユナイテッド(マンU)の元ミッドフィルダー、リー・シャープの言葉を借りれば「見た目が怖い」。さらに彼は「いかにもユナイテッドが欲しがりそうな選手だ」と付け加えた。
実際、移籍先がマンUになる可能性もあった。マンUは得点力とスター性のある選手を喉から手が出るほど求めていたし、オーレ・グンナー・スールシャール監督はハーランドがノルウェーのモルデFKに所属していた時の監督でもある。それに、ハーランドの父はイングランドでプレーしていた元サッカー選手だ。
だが、マンUはハーランドを獲得できなかった。監督は遅くとも今シーズンいっぱいで解任されると言われている。しかもハーランドの父は現役時代に、マンUの主将だったロイ・キーンとピッチ内外で何度も衝突した。父は「マンUなど大嫌いだ。あそこの選手には我慢ならない」と語ったと伝えられる。マンUは、ハーランドの代理人が出してきた条件に問題があったと主張している。