サンダースが推すアメリカ版「国民皆保険」は、社会主義どころか大きなコスト削減につながると新研究
Medicare for All Would Save $450 Billion Annually, New Study Shows
保守派からは過激な社会主義者と批判されるサンダースだが Jason Redmond – REUTERS
<保守派が忌み嫌う国民皆保険制度が実現すれば、いま保険に加入できていない多くのアメリカ人の命も救う>
最新の研究によれば、民主党の大統領候補バーニー・サンダースとエリザベス・ウォーレンが提案するアメリカ版「国民皆保険」(メディケア・フォー・オール)。数千万人の無保険者が満足に医者にかかれない命の格差を解消しようとする提案だが、皆保険は社会主義的で財政膨張と非効率を招く、とアメリカの主流派からはほとんど相手にされなかった。ところがそれが、逆に年間数千億ドルもの節約を可能にし、数万人の命を救うことになるという研究結果が発表された。
イェール大学とフロリダ大学、メリーランド大学の研究者が合同で行った分析によれば、アメリカの医療保険制度が、政府運営による国民皆保険に移行すると、年に推定約4500億ドルのコスト削減になるという。一世帯あたりでは年2400ドルの節約だ。
2月15日に医学雑誌ザ・ランセットに発表されたこの研究はまた、国民皆保険制度に移行すれば、年に約6万8000人の命が救える、としている。
「それでもこの数字はかなり控えめだ。私たちの研究では、現在無保険のアメリカ人の命が救われる分を考慮していないからだ。そこには名目上保険に加入しているが、自己負担金を払えないために治療を受けられなかったり、先延ばしにする人々もカウントしていない」と、イェール大学公衆衛生学部のアリソン・ガルバニは本誌に語った。
研究者らの予想では、国民皆保険の導入によって、アメリカ全体の医療費が年約13%削減されると同時に、低所得世帯への医療アクセスが改善される。
アメリカでは約3700万人が医療保険に加入しておらず、さらに4100万人が適切な医療保険に加入していない。全体で見ると、総人口の約24%がニーズに合った医療保険に加入していない。
高すぎる医療コスト
この研究によれば、「雇用主と加入者による保険料と政府の資金で賄う現在の制度よりも、国民皆保険制度のほうが少ない財政支出で全体のコストをまかなえる」という。
アメリカの一人当たり医療費は世界のどの国より高いことも指摘している。これはサンダースが皆保険制度の議論でよく言っていることだ。
「アメリカの医療費が他の先進国と比べて驚くほど高いことには、注目する価値がある」と、シンクタンク経済政策研究所のジョシュ・ビベンス研究部長は本誌に語った。ビベンスは今回の研究には関与していない。
「この事実をふまえ、他の国々が集中管理体制によって医療関連コストを抑制していることを考えると、これまでのところ、『メディケア・フォー・オール』が適切に運営されるなら、国の医療費を節約できる可能性が最も高いのではないかと思う」と、彼は言う。
サンダース上院議員はこの研究を絶賛し、自分の医療保険改革は「人権としての医療」を保証する最善策だと付け加えた。
「労働者の家計負担を数千ドル減らし、年に何万人もの死を防ぐことになるだろう」と、サンダースは語る。「製薬業界や医療保険業界のCEOは気に入らないかもしれないが、私が大統領になったら、こういう連中の強欲は終わりだ。私たちは国民皆保険を達成する」
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