新型コロナ対応で共産党支持が強固になる皮肉
中央政府は当初、ソーシャルメディアなどの追悼メッセージを抑え込もうとしたが、すぐに方針を転換した。現地に調査チームを派遣すると発表し、国営メディアや政府系のソーシャルメディアアカウントも市民と一緒に李を称賛し、追悼した。
中央政府は、この問題で武漢市当局にほぼ責任を押し付ける一方、巧みな検閲とメディア操作を行い、李の悲劇の背後にある制度上の欠陥に議論が向かわないようにしてきた。このアプローチは成功したようだ。政府への不満の盛り上がりは、比較的短期間で収束に向かった。危機が落ち着いた後は、中央政府に対する国民の支持はむしろ強まるかもしれない。
おそらく本当の問題は、新型肺炎危機の後に待っている経済成長の減速だろう。そして、景気悪化と生活水準の低下への国民の不満が高まったとき、中央政府が新たなスケープゴートを見つけることは簡単でない。
From thediplomat.com
<2020年2月25日号掲載>
【参考記事】中国一党独裁の病巣が、感染拡大を助長する
【参考記事】新型コロナウイルスの「不都合な真実」を隠す中国政府の病弊
2020年2月25日号(2月18日発売)は「上級国民論」特集。ズルする奴らが罪を免れている――。ネットを越え渦巻く人々の怒り。「上級国民」の正体とは? 「特権階級」は本当にいるのか?