新型コロナウイルスで停止した中国企業活動 日本経済への影響懸念
新型肺炎のまん延が収束する兆しが見えないなか、中国国内の企業活動の停止などの影響で、日本とシンガポールがリセッション(景気後退)に陥るとの懸念が強まった。写真は武漢で15日撮影。提供写真(2020年 ロイター/China Daily )
中国では新型コロナウイルスによる肺炎の感染者が7万人を超え、発生源とされる湖北省では再び感染ペースが加速している。流行が収束する兆しが見えないなか、中国国内の企業活動の停止などの影響で、日本とシンガポールがリセッション(景気後退)に陥るとの懸念が強まっている。
中国国家衛生健康委員会は17日、中国本土での新型コロナウイルスによる肺炎の死者が16日時点で新たに105人増え、1770人に達したと明らかにした。感染者は2048人増の累計7万0548人となった。本土で感染が確認された7万人強のうち、1万0844人が治療を受け、退院したという。
発生源とされる湖北省では16日に新たに1933人の感染が確認され、新たな死者は100人に上った。死者数は今月11日以来の小幅な増加だったが、感染拡大ペースは3日ぶりに加速した。
この日発表された日本の2019年10─12月期実質国内総生産(GDP)は、5四半期ぶりのマイナス成長となった。
西村康稔経済財政相は、マイナス成長の主因である消費低迷について10-12月期の1四半期で終わると期待しているとしつつ、暖冬や新型ウイルスの影響を注視する強調した。
シンガポール政府は2020年の経済成長率見通しを従来の0.5─2.5%からマイナス0.5─プラス1.5%に引き下げた。リー・シェンロン首相は14日、新型コロナウイルスの影響でリセッションに陥る可能性に言及した。
中国本土以外の感染者は500人強に達し、死者は5人報告されている。
格付け会社ムーディーズは中国の2020年のGDP成長率予想を5.2%に引き下げた。中国政府系シンクタンクの幹部は2020年までの10年間でGDPを倍増させるという政府の目標を達成するには、今年に約5.7%の成長率が必要と指摘しているが、これに満たないことになる。
クルーズ船から退避
横浜港に検疫のため停泊し、新型コロナウイルスの集団感染が発生しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」からは16日、米国人が下船した。退避に向け派遣されたチャーター機で帰国する。カナダ、イタリア、韓国、香港、オーストラリアの各政府もそれぞれの市民を退避させる方針を発表している。
日本などで入港を拒否され、カンボジアに13日に到着したクルーズ船「ウエステルダム」では、下船後にマレーシアに移動した乗客の米国人から新型コロナウイルスの陽性反応が出た。マレーシア当局が発表した。
台湾は16日、新型コロナウイルス感染者が死亡したと発表。台湾での死者は初めてだった。フランスのビュザン保健相は15日、国内で入院していた高齢の中国人旅行者が新型コロナウイルスの感染で死亡したと発表した。新型肺炎による欧州で初の死者だった。