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インドネシア

バレンタイン反対!? 《異教徒の祭り》にイスラム教主流の国は「祝うな、避妊具売るな」と強要

2020年2月14日(金)17時30分
大塚智彦(PanAsiaNews)

1人バレンタインデーの過ごし方

こうしたなかで「ジャカルタ・ポスト」紙には「なにもバレンタインデーは男女2人で過ごすだけではない、1人バレンタインデーもいいものだ」とする署名記事も掲載された。

記事では主要書店が書籍の割引セールスを実施していることやハーゲンダッツやバーガーキングは1人で来店しても特典があるということも紹介。さらに、バレンタインデーに1人で過ごすときにふさわしい音楽10曲なども列挙して「1人バレンタインデー」の過ごし方を提案している。

こうしたなか、あるイスラム教徒の女性はSNSで「バレンタインデーは我々イスラム教徒の文化ではない。しかし2月14日にパーティーを開いて盛大に盛り上がるのは我々インドネシア人の文化である、さあみんな集まれ」と呼びかけた。

このようにイスラム教徒大国はバレンタインデーをめぐって世代間、宗教間での賛否両論が渦巻きながらも、それぞれの思いを胸にそれぞれのバレンタインデーを迎えている。


otsuka-profile.jpg[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など



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