中国の新型コロナウイルス危機は「チェルノブイリ級」と世界が囁き始めた
Political Scientist: History Will See Coronavirus as China's Chernobyl
WHOは1月30日になって、同ウイルスの感染拡大について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。中国については、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行時とは対照的に、対応と情報の透明性を高く評価した。
だがウイルスの発生源とされる武漢市は、1月9日に新型ウイルスを発見していながら、20日まで情報を公開しなかった、と批判の声が上がっている。周先旺市長も、情報が「タイムリーに」発表されなかったことを認め、「上からの許可を待たなければならなかった」と、暗に中央政府を批判した。
昨年末にいちはやくウイルスの発生に警鐘を鳴らし、その後自らもCOVID-19に感染していた医師が2月7日に死亡すると、中国国内では怒りの声が上がった。李文亮は武漢市在住の医師で、メッセージアプリのWeChatで原因不明の新たな病気の発生を警告していたが、警察に「デマを流した」と見なされ、処分された。
英ガーディアン紙によれば、彼の死を受けて中国の一般市民の間からは悲しみや怒りの声とともに、言論の自由を求める声が上がった。中国当局はこれが騒動に発展するのを阻止するために、「李を追悼するために街頭で抗議を」と呼びかけたWeChatのメッセージを削除したとみられる。
中国は『チェルノブイリ』も削除
ここでもチェルノブイリが引き合いに出された。オンライン誌クォーツによれば、李を偲んでWeChatに投稿されたメッセージの中で、あるユーザーはHBOが制作・放送したドラマ『チェルノブイリ』の中のバレリー・レガソフ(同原発事故の調査を率いた科学者)の台詞を引用した。
「嘘の代償は何だろうか」と、その投稿には書かれていた。「私たちが知りたいのはただひとつ。『誰のせいか』ということだ」
ワシントン・ポスト紙も1月末、HBOの『チェルノブイリ』の中国語レビューサイトに多くの人がコメントを書き込んでいると報じた(その後、検閲が入りこのレビューページは削除された)。
記事はこう書いていた。「多くの人が、今の中国と事故当時のソ連の愚かさに共通点を見出し、武漢のウイルス感染拡大はチェルノブイリ事故のようなものだと示唆するコメントを書き込んでいる」
(翻訳:森美歩)
2020年2月18日号(2月12日発売)は「新型肺炎:どこまで広がるのか」特集。「起きるべくして起きた」被害拡大を防ぐための「処方箋」は? 悲劇を繰り返す中国共産党、厳戒態勢下にある北京の現状、漢方・ワクチンという「対策」......総力レポート。