新型肺炎で死者が出たフィリピンでドゥテルテと中国への反感が噴出
Anti-Chinese and anti-American conspiracy theories have followed the first death.
チノイと呼ばれる中国系フィリピン人は難しい立場に陥っている。彼らは中国との貿易では圧倒的に強いが、同時に自分たちをフィリピン人と思っている。中国系フィリピン人の商工会は、「フィリピン人は反中人種差別を控え、代わりに中国政府の透明性と優れた政治的意志を称賛すべきだ」と声明を出した。
フィリピンの人口の25%を占めるチノイは、反中感情が強まるたびその中心に立たされてきた。福建省の商人の子孫が多い中国系フィリピン人経営者たちは、代々、中国との経済的文化的な絆を大事にしてきた。そのために、ドゥテルテの政策を批判する人に疑われやすく、フィリピンに対する忠誠心も試されることになる。
フィリピンで働く中国人も多い。オンライン賭博業界だけで10万~25万の中国人不法労働者がいる、と業界筋は言う。一部の中国人の「無法な行い」と、中国人がフィリピン人の雇用を奪っているという認識が合わさって、フィリピンの人種差別の標的になりやすい。
たとえば、マニラのアダムソン大学は1月31日、「健康的でウイルスのいない環境」を守るため、中国人学生全員に14日間「自らを隔離」するよう命じた。大学は翌日、過去1カ月の間に感染地域を訪ねた人と言い直し、謝罪した。マニラでマスクを配る中国人グループを讃えるフェイスブック投稿は、人種差別的なコメントで一杯になった。中国人を、フィリピンから富を奪う「盗賊」と呼び、中国に帰れと書く者もいた。
チノイを含む多くのフィリピン人の願いは、コロナウイルス感染症の拡散と激化する反中感情が、これ以上悪くならないうちに共に封じ込められることだ。
2020年2月18日号(2月12日発売)は「新型肺炎:どこまで広がるのか」特集。「起きるべくして起きた」被害拡大を防ぐための「処方箋」は? 悲劇を繰り返す中国共産党、厳戒態勢下にある北京の現状、漢方・ワクチンという「対策」......総力レポート。