今の資本主義には規律も公平さもない、若者たちが憤るのは当然だ
CONFESSIONS OF A MONEY MAN
サイエンス誌によれば、人間の脳は絶対的な富より相対的な富の差に強く反応するという。こうした人々の気持ちを理解しようとせず、私たちは格差批判を敗者の「負け惜しみ」と切り捨て、貧しいのは怠惰や浪費、そしてリスクを引き受ける勇気の欠如のせいだと決めつけてきた。
規律正しく公平な資本主義は、今も全ての人にとってベストな、そして最も公平な仕組みだ。貧困層や弱者にとっても、左派の諸君が掲げる「民主社会主義」よりもはるかに優れた選択肢であり得る。社会主義は不平等を減らすだろうが、貧しい人の生活を引き上げるのではなく、全国民を平等に惨めな状況に導くだけだ。
しかし残念ながら、今の資本主義は規律正しくもないし、公平でもない。資本主義者は鏡に自分の顔を写してみるといい。そうすれば、若者が社会主義になびく理由が分かるはずだ。
<本誌2020年2月18日号掲載>
【参考記事】超富裕層への富の集中がアメリカを破壊する
【参考記事】資本主義の成熟がもたらす「物欲なき世界」
2020年2月18日号(2月12日発売)は「新型肺炎:どこまで広がるのか」特集。「起きるべくして起きた」被害拡大を防ぐための「処方箋」は? 悲劇を繰り返す中国共産党、厳戒態勢下にある北京の現状、漢方・ワクチンという「対策」......総力レポート。