タイ銃乱射殺人事件、犯人射殺で終わらなかった 元兵士や警官が模倣犯行予告
実況中継を続けたテレビ局の処分検討
8日から9日にかけて約16時間におよんだ今回の乱射事件はタイ国民の高い関心を集めて、主要なテレビ局は事件を現場からの実況中継で伝えた。しかし、現場の状況が容疑者に伝わることを危惧した治安当局の要請を受け、タイ国家放送通信委員会(NBTC)は8日午後9時半以降の番場中継の中止を各テレビ局に命令した。
ところが多くのテレビ局は事件解決まで実況放送を中止しなかった。このため10日、NBTCは「実況中継の中止命令にも関わらず中継を続けたテレビ局を処分する」との方針を明らかにした。
銃撃事件を受けて、陸軍出身でもあるプラユット首相は現地に赴いて負傷者を見舞うなど迅速な対応をみせているが、その一方でマスコミからは「軍の武器庫の武器管理はどうなっているのか」「軍人のサイドビジネスの実態を把握しているのか」などの批判とともに実質的な全軍の司令官でもあるアピラット・コンソムポン陸軍司令官の責任を問う声もでている。一部報道では「アピラット司令官の辞任要求」の署名活動も始まったという。
ただ、アピラット司令官はプラユット首相と同じ首都バンコクを管轄する第1軍管区司令官の出身で親しい関係にあり、次期首相候補の一人とも目されていることから、辞任や更迭は難しいとの見方もでている。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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