最新記事

軍事

ロシアに先を越された極超音速兵器の開発急ぐアメリカ

The Pentagon Invests in New Weapon to Defeat Russia’s Hypersonic Missiles.

2020年2月6日(木)17時55分
トム・オコナー

ロシアは既に2つの極超音速兵器を実戦配備している。1つは空中発射弾道ミサイルKh-47M2キンジャール、もう1つは最高速度が音速の27倍に達すると言われる極超音速滑空ミサイル、アバンガルドだ。さらに少なくとももう1つ、潜水艦や艦船から発射できる巡航ミサイル、3M22ジルコンも開発中だ。これら3つはいずれも核搭載可能なシステムだ。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2017年以降毎年、年初に行う年次教書演説で、極超音速兵器に触れ、アメリカが軍縮協定を破棄し、地球規模のミサイル防衛網の構築を進めているため、ロシアはそれに対抗せざるを得ない、と述べてきた。

1月15日に行った今年の年次教書演説では、ロシアの軍備増強は歴史的な局面を迎えたと宣言した。「ソビエト時代も含めて、核ミサイルの開発史上初めて、ロシアは他国を追うのではなく、追われる立場となった。ロシアが既に保有している兵器を、他の主要国はいまだに開発できていない」

ドナルド・トランプ米大統領は今年初めに行った演説で、アメリカは「多くの極超音速兵器」を建造中で、アメリカのミサイルは「大きくて強力で正確で致命的で速い」と豪語した。だが国防総省の報道官は昨年11月、本誌の取材に、ロシアと中国が極超音速技術の兵器化に踏み切ったため、「戦闘能力の非対称性が生じ、わが国はこれに対処しなければならない立場だ」と明かした。

その言葉どおり、国防総省は12月に極超音速の空対地ミサイル、AGM-183A 空中発射型迅速対応兵器の開発でロッキード・マーティンに10億ドル近い資金を提供する契約を結んでいる。

20200211issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月11日号(2月4日発売)は「私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】」特集。歌人・タレント/そば職人/DJ/デザイナー/鉄道マニア......。日本のカルチャーに惚れ込んだ韓国人たちの知られざる物語から、日本と韓国を見つめ直す。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中