最新記事

新型コロナウイルス

中国逆切れ?「過剰なウイルス対策でパニックを引き起こしている」とアメリカを非難

China Accuses U.S. of 'Manufacturing and Spreading Panic' Over Coronavirus

2020年2月4日(火)18時30分
ジェニー・フィンク

アメリカ非難は習近平国家主席の苛立ちの表れ? Noel Celis/REUTERS

<新型コロナウイルスが発生して以降、アメリカ人を守るために矢継ぎ早の感染対策をとってきたアメリカは中国を孤立させようとしているのか?>

アメリカでも新型コロナウイルスの感染者数が増え、政府が対策に乗り出している。そのやり方について中国は、アメリカは助けの手を差し伸べる代わりにパニックを引き起こしていると非難した。

カリフォルニア州の衛生当局は2月2日、3人の新たな新型コロナウイルス感染者を確認したと発表した。これにより、アメリカ全体の感染者数は11人になった。1月19日にアメリカで1人目の感染者が確認されてからの2週間で、アメリカ当局は新型コロナウイルスの発生源である中国・武漢からアメリカ人を避難させたほか、中国への渡航警戒レベルを最大限に引き上げるとともに、中国発アメリカ行きの航空便を制限するなどの措置を講じてきた。

中国外務省の華春瑩報道官は2月3日、記者団に対し、アメリカは「不安を煽ってパニックを広げている」と語った、とロイターは報じる。

「強力な感染予防力と施設を備えたアメリカのような先進国が、率先して、世界保健機関(WHO)の勧告に反した過剰な制限を導入している」と華は述べた。

1月30日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したWHOのテドロス事務局長も、他国が中国に対して渡航制限や貿易制限を課すことに強く反対した。

トランプ「中国には大きな支援を申し出た」

アメリカは1月28日、武漢にいる米政府関係者とその家族、一部の民間人の避難を開始した。避難は今週も続けられる見込みだ。ドナルド・トランプ大統領は1月31日、公衆衛生上の緊急事態を宣言。外国人については、過去14日以内に香港とマカオ以外の中国に滞在歴がある場合は入国を禁止すると発表した。

アメリカ国務省は2月2日、中国への渡航に関して、「再検討」を勧告するレベル3から、最高レベル4に引き上げ、渡航しないよう呼びかけた。中国に滞在中のアメリカ人に対しては、出国するか、できるだけ自宅にとどまって他人との接触を避け、感染リスクを減らすよう勧告した。

WHOのテドロス事務局長によると、WHOが緊急事態を宣言した1月30日時点では、新型コロナウイルスの感染者は世界全体でおよそ8000人だった。それが2月4日昼には2万437人に急増。

トランプは2月2日、フォックス・ニュースの番組で、アメリカ当局は中国に対してウイルス拡散に対処するための「大きな支援」を申し出ている、と述べた。ロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はCBSの報道番組で、中国に伝えた支援の中身とは、米疾病対策センター(CDC)などから医療や公衆衛生の専門家を派遣することなどだと話した。

「中国からはまだ返事はないが、今後も協力していくつもりだ」とオブライエンは述べた。「中国にとって深刻な事態だ。中国にとっても、世界にとっても、深刻だ。だからこそ、私たちはアメリカ人を守るべく、現在のような措置をとっている」

ロイターによると、華報道官は2月3日の記者会見で、アメリカ政府は「中国に対してなんら実質的な支援を提供していない」と述べたという。

(翻訳:ガリレオ)

<参考記事>「脳性麻痺の息子がもうすぐ死ぬ」 新型コロナウィルス感染疑われた親の隔離で放置された少年
<参考記事>中国経済、新型コロナウイルス感染拡大の影響は想像を上回る

20200211issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月11日号(2月4日発売)は「私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】」特集。歌人・タレント/そば職人/DJ/デザイナー/鉄道マニア......。日本のカルチャーに惚れ込んだ韓国人たちの知られざる物語から、日本と韓国を見つめ直す。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産、タイ従業員1000人を削減・配置転換 生産集

ビジネス

製造業PMI11月は49.0に低下、サービス業は2

ワールド

シンガポールGDP、第3四半期は前年比5.4%増に

ビジネス

中国百度、7─9月期の売上高3%減 広告収入振るわ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中