中国経済、新型コロナウイルス感染拡大の影響は想像を上回る
Knock-On Effects of China’s Coronavirus May Be Worse Than Thought
中国へのフライトを停止した航空会社は数限りない。なかには4月まで再開の予定がない会社もある。アジア諸国は中国人の入国を厳しく制限しており、アジアの観光産業も深刻な打撃を受けるだろう。タイのように、中国人を入れるなと要求する国民と、中国の中間所得層が来なければ干上がってしまう観光業界との狭間で悩ましい対応を迫られている国もある。中国人の入国禁止によるタイの観光業の損失は15憶ドルに上ると推定される。
商品市場もウイルスの影響を痛感している。中国を大口顧客とする原油の価格は、ニューヨークでもロンドンでもウイルス発生以降の1カ月で15%下落した。原油収入に依存する中東ロシア、そしてシェールオイルで稼ぐアメリカにとってさえ、悪いニュースだ。エネルギーコンサルタントのウッド・マッケンジーは、今年の前半は中国の需要が激減し、OPECは原油価格の下落に歯止めをかけるために再び生産量を減らさなければならなくなる可能性もあるという。OPEC最大の産油国サウジアラビアも、大幅な生産調整を検討中と言われている。
米中「第一段階の合意」もおあずけ
影響は新興国や途上国に限らない。オーストラリアとカナダは銅に対する需要減少で苦しむことになる。米中貿易交渉「第一段階の通商合意」に輸出増の期待を懸けていたアメリカの農家も製造業も、おあずけを食らったまま。いつ取引が再開するかのメドすら立たない。
ほとんどのエコノミストは、中国政府は景気減速を回避するため一段の景気刺激策と金融緩和を打ち出すだろうとみている。経営不振の企業には補助金を出し、人民元を安くして輸出を助ける。なかでもトランプ政権が忌み嫌っているのが人民元安だ。第一段階の合意でも、中国に為替操作をやめると約束させた成果を強調したばかり。だが中国に、アメリカと歩調を合わせようとする気配はない。それどころか、ウイルス感染を恐れて中国を締め出そうとする国際社会の動きをアメリカのせいにし始めている。
(翻訳:森美歩)
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