最新記事

韓国

韓国政府の新型コロナウイルス対策に批判 隔離施設への反対運動も

2020年2月3日(月)19時00分
佐々木和義

武漢からの帰国者の隔離施設に反対する韓国市民   聯合ニュースTV-YouTube

<新型コロナウイルスは韓国にも大きな影響を及ぼしている。帰国者の受け入れを巡って反対運動や暴動が起きるなど、政府の対応は二転三転した......>

中国・湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎は、韓国にも大きな影響を及ぼしている。2月2日現在で韓国内の感染者は計15人となっている。

チャーター機の派遣までの混乱

日本政府がチャーター機の派遣を発表した1月26日、韓国政府は「政府を信じて過剰な不安を持たないようお願いする」という大統領のメッセージを発信しただけで具体的な対応を提示することはなかった。

しかし、日本のチャーター機が武漢に向かった1月28日、韓国政府は同月30日と31日に2機ずつ計4機のチャーター機を派遣すると発表した。

駐武漢韓国総領事館は、30日午前10時45分までに武漢空港に集合、15時と17時にそれぞれ出発する便に搭乗すると告知していたが、30日の未明・午前1時になって、突然、チャーター便を取り消すと発表。

韓国政府との協議を終えていない中国政府が、チャーター機の飛行を中止させたのだ。協議の末、1機のみの飛行を許可、さらに韓国政府は中国に対する500万ドル相当の緊急支援を発表した。

また、機内感染予防のため座席の間隔をあける方針を断念し、2機の予定を1機での輸送に変更。結局、4機を派遣する予定が2機になり、15時間遅延して、31日朝に368人、翌2月1日に330人が帰国した。722人の帰国希望者のうち中国籍の家族や現地の交通規制等で間に合わなかった20人余りが取り残された。

武漢市へのマスク支援発表でも批判

韓国政府は中国・武漢市にマスク200万枚、医療用マスク100万枚、防護服とゴーグル各10万個などを支援すると発表したが、この方針に対して批判が起きた。日本が100万枚のマスクを中国に送り、感謝の声が広がった後の発表だったことと、さらに、韓国内でマスク不足が懸念されていたためだ。

韓国で感染者が確認された20日頃からマスクを購入する人が増え始めた。コンビニエンスストア大手のCUは、20日から1週間のマスクの売上が前月同期の10倍を超え、観光客が訪れるソウルの明洞は中国人観光客による買い占めで品切れが続出、ドラッグストアはマスクを求める人々で行列ができた。

さらに、ソウル市が市民の携帯電話にマスクの着用と手洗いを促すメッセージ送り、政府が中国に対する支援を発表すると、販売業者は値段を吊り上げてマスク不足を助長させた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

S&P、アダニ・グループ3社の見通し引き下げ 米で

ワールド

焦点:ウクライナ巡り市民が告発し合うロシア、「密告

ワールド

台湾総統、太平洋3カ国訪問へ 米立ち寄り先の詳細は

ワールド

IAEA理事会、イランに協力改善求める決議採択
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中