革新系・文在寅でもLGBTには冷淡? 韓国、トランスジェンダー軍人と学生の訴えは......
記者会見で涙声で「私は大韓民国の軍人です。 ありがとうございます。統一!」と語ったトランスジェンダー軍人ビョン・ヒスさん YTN NEWS / YouTube
<韓国では「人権派弁護士」が大統領になっても、LGBTの人権は守られない>
現在、性の在り方は「男と女」の2つだけではない。LGBTという言葉は、今ではすっかり定着したが、セクシャリティは細かく分けると数十以上存在すると言われている。事実、多様性を認めるアメリカでは、Facebookのプロフィール欄にある性別設定には「男」「女」以外に「カスタム」という項目がある。これを選ぶと計58種類の中から自分に合ったジェンダーを設定することができる。
性の境界がはっきり別れる瞬間
お隣りの韓国では、そんなジェンダーをめぐる論争が波紋を広げているのをご存じだろうか? 時代は「育て分けをしない。どの性も同じように育てよう」という風潮にある。筆者の周りで母になった30〜40代の韓国人の友人たちを見ていてもそのように感じる。しかし、年配の人々や国の方針はまだまだ反対派も多いのが現実だ。
文在寅政権は左派・革新政党ということで、ジェンダー問題に対しても支持する立場で取り組むと思われがちだ。ところが実際は、「基本的に人権侵害は許されないことだが、同性愛は反対」というコンサバな立場を取っている。2017年の大統領選挙の際は、民主党よりも正義党のほうが、LGBTなどの面では先進的な公約をあげて注目されたほどだ。
これはさまざまな理由があるだろうが、その一つとして、韓国では一定の年齢になると性の境がはっきり別れる瞬間が訪れる。それが徴兵制である。
トランスジェンダーになった途端、退職命じられる
ビョン・ヒスさんは、男性として入隊後、副士官まで上りつめる優秀な軍人だったが、2019年11月性適合手術を受けて、韓国史上初のトランスジェンダー軍人となった。
ところが、手術後1月22日に突然軍の退職を命じられる。その後、女性軍隊での任務を希望するがその声は聞き入れられず、民間NGO団体「軍人権センター」のサポートを受け、本人出席での実名記者会見を行った。