最新記事

中国株

武漢封鎖パニック、中国株が大幅下落

Chinese Stock Markets Plunge As Deadly Virus Spreads, Authorities Order Lockdowns

2020年1月24日(金)14時32分
パラシュ・ゴシュ

「封鎖」関連株は軒並み売られた(交通遮断で誰もいなくなった武漢の漢口駅を消毒する職員、1月23日)  China Daily/REUTERS

<感染がどこまで拡大するかわからない上、春節の間は株式市場も閉まって売るに売れないという不安から、損切りする投資家もいた>

中国で新型コロナウイルスの感染が拡大している問題を受け、1月23日の中国・上海や香港の株式相場は3%近く下落した。中国ではこれまでに少なくとも600人が同ウイルスに感染し、17人が死亡。当局はさらなる感染拡大を防ぐため、発生源の武漢市など複数の都市で公共交通機関の運行を停止し、人の移動を制限する措置を取っている。

23日の上海総合指数(中国本土市場の主要指数)は2.75%の下落と、春節(旧正月)を控えたこの時期として30年ぶりの下げ幅を記録。深圳総合指数は3.45%、香港ハンセン指数も1.52%それぞれ値を下げた。春節を迎えて人の移動が活発になることで、ウイルスの感染拡大が今後も続くことが嫌気され、中国株の売りが膨らんだ。

新型コロナウイルスの発生源とみられている湖北省の武漢市は現在、公共交通機関の運行が停止され、さまざまなイベントも中止になるなど、まさに封鎖状態にある。武漢に近接する黄岡市や卾州市も、交通機関の運航停止や映画館、市場などの閉鎖に踏み切り、24日昼時点で2000万人が事実上の隔離状態にある。

外国人投資家が香港を経由して行う中国(上海・深圳)株は、117億元の売り越しになった。

今後の予想がつかないという恐怖感

資産運用会社ブリストルコーン・パイン・アセット・マネジメントのファンドマネージャーであるワン・ダイシンは、「恐怖とパニックがまん延している」と指摘する。「今後、事態がどこまで悪化するのか予想がつかない。私は市場から撤退するタイミングを逃したから、損をするよりはこのまま様子を見ようと思う。だがほかの人々は、損をしてでも株を手放している」

プリンシパル・グローバル・インベスターズの主任ストラテジストであるシーマ・シャーは、新型コロナウイルスで最も打撃を受けそうな業界は、中国の観光業、小売業と航空業だと指摘する。逆に追い風を受けているのが「ヘルスケアと製薬」だと彼女はつけ加えた。

実際に23日の取引で航空関連株は軒並み値を下げ、中国国際航空が4.4%、中国東方航空が3.4%、そして中国南方航空が3.7%下落した。

上海証券取引所は春節で30日まで休場となるため、外国人投資家たちはその間、中国株がどうなろうと売ることもできない。

<参考記事>新型コロナウイルス肺炎、習近平の指示はなぜ遅れたのか?
<参考記事>新型肺炎パンデミックの脅威、真の懸念は中国の秘密主義

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 8
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中