韓国、長引く不況を「ノージャパン運動」が覆い隠す
メディアも日本が受けた影響を強調
日本への影響を話題にするのは市民だけではない。韓国経済新聞は2019年12月16日、日本政府の輸出規制が韓国よりむしろ日本に被害を与えたと報じている。同紙は日本政府が韓国に対する輸出管理を強化して以降、日本の韓国向け輸出は前年と比べて14%減少したが、韓国の日本向け輸出は7%減にとどまり、韓国より日本が受けた影響が大きいと主張する。
一方、産業通商資源部は輸出管理強化による日韓貿易の影響はごく限られると分析する。同部が12月1日に発表した11月の輸出額は前年同月と比べて14.3%減で、韓国の輸出は18年12月から連続してマイナスを記録している。最大輸出先である中国向けは12.2%減、2位の米国向けは8.4%減で、成長を続けてきた欧州向けも21.9%減など、6月以降、輸出額は2桁のマイナスが続いている。また、日本の韓国向け輸出は、輸出管理が強化される前の1月から6月の時点で前年を13.3 %下回っており、7月以降ほとんど変化していない。
韓国政府の楽観的な経済見通し
文在寅大統領は貿易黒字を強調し、政府は就業者が増加して失業率が改善していると不況を覆い隠すが、韓国銀行は大卒者が志望を諦めて入りやすい職業を選んだ結果と分析する。高学歴者を受け入れる働き口が不足し、販売や単純労働に従事する大卒就業者が増えている。平均賃金は大卒者の適正職業と比べて38%低い。
政府はまた、来年度の実質国内総生産(GDP)成長率を2.4%とする見通しを発表した。韓国銀行が発表した2.3%より高く、モルガン・スタンレーの1.7%やLG経済研究院の1.8%など、1%台を予測する民間の経済研究機関を上回る楽観的な見通しで下方修正は避けられないと専門家は指摘する。
韓国経済は輸出など外的要因に左右されやすい。政府は2.6%から2.7%としていた19年度の経済成長見通しを2.0%に下方修正している。