最新記事

テクノロジー

中国で次世代の核融合装置「人工太陽」がついに誕生へ

2019年12月24日(火)19時40分
ハナ・オズボーン(サイエンス担当)

期待を背負う中国の「人工太陽」(四川省成都市) Liu Haiyun-Chengdu Economic Daily-REUTERS

<核融合研究装置「HL-2M」は、太陽の中心で起こる反応を再現してエネルギーを生成する>

2020年、ついに中国が次世代の核融合研究装置「HL-2M」の運転を開始する。この核融合装置は、太陽の中心で起こる反応を再現してエネルギーを生成することから、「人工太陽」とも呼ばれる。運転開始後、実験に成功すれば、核融合利用の究極の目標である無限、安い、クリーンという三拍子がそろったエネルギーの獲得に一歩近づく。

06年からHL-2Mプロジェクトを進めてきた国有原子力企業、中国核工業集団公司(CNNC)は19年3月、年内にHL-2Mの建設を終えると発表。11月には、CNNC傘下で研究を請け負う核工業西南物理研究院の段旭如(トアン・シュイルー)院長が、プロジェクトは順調であり、「20年には運転を開始する」と述べた。同装置は太陽の中心温度の約13倍であるセ氏2億度以上を達成見込みで、別装置で18年11月に達した1億度を大幅に上回る。

20年に「人工太陽」が中国にともれば、以後世界で造られる核融合炉は「メイド・イン・チャイナ」になるかも。

<本誌2020年01月7日新年合併号掲載>

2019123120200107issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2019年12月31日/2020年1月7日号(12月24日発売)は「ISSUES 2020」特集。米大統領選トランプ再選の可能性、「見えない」日本外交の処方箋、中国・インド経済の急成長の終焉など、12の論点から無秩序化する世界を読み解く年末の大合併号です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インタビュー:米投資計画、夏ごろに再検討 リスクと

ビジネス

米関税含め「不透明感一層高まっている」、予断持たず

ビジネス

貿易収支3月は5441億円の黒字、財務省「駆け込み

ビジネス

米関税政策は日本経済を下押し、動向注視していく=植
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 3
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 6
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 7
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 8
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 9
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 10
    あまりの近さにネット唖然...ハイイログマを「超至近…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 6
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 9
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 10
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中