中国で捕らわれた外国人を待つ地獄の日々
A Cruel Fate in China
被害者はアメリカにもいる。2015年3月には実業家のサンディ・ファンギリスが、テキサス州の財界代表団と移動中にスパイ行為を働いたとして身柄を拘束された(2017年4月に解放)。
私と一緒に収監されていたアメリカ人学校教師デービッド・マクマーンは、身に覚えのない性的虐待の容疑で2013年に逮捕され、いまだに釈放されていない。いいかげんな司法制度の下で不運な身にある彼を、アメリカ政府は助けず、助けようとする姿勢も見えない。欧米諸国の政府は往々にして、中国との貿易を自国民の保護よりも優先したがる。
しかしイギリスでは、中国で不法に拘束された人たちの家族や支援者たちが「在外英国人権利グループ」を結成し、活動を始めている。外国で不当に身柄を拘束されているイギリス国民を解放するため、しかるべき措置を政府に義務付ける法律の制定を目指す運動だ。この動きに、他国の人々も追随してほしい。もはや、北京の顔色をうかがっている場合ではない。
かつての英国宰相ウィンストン・チャーチルは第二次大戦の勃発前夜に、ナチス・ドイツを虎に例え、「虎の口に頭を突っ込んだ状況で交渉はできない」と言ったと伝えられる。今の私たちも、虎におもねらず、一致団結して闘いに挑むべきだ。
©2019 The Diplomat
<本誌2019年12月24日号掲載>
【参考記事】中国獄中で忘れられるアメリカ人
【参考記事】中国で日本人21人が宗教活動で拘束──長期拘束される日本人は年々増えている
12月24日号(12月17日発売)は「首脳の成績表」特集。「ガキ大将」トランプは落第? 安倍外交の得点は? プーチン、文在寅、ボリス・ジョンソン、習近平は?――世界の首脳を査定し、その能力と資質から国際情勢を読み解く特集です。