トランプ弾劾「主戦場」は上院へ 共和・民主の攻防戦略は
マコネル院内総務の戦略
共和党のマコネル上院院内総務は、下院が弾劾決議案を可決すれば上院で弾劾裁判を始め、民主党のシューマー上院院内総務と裁判のルールで協議を試みると公言している。
シューマー氏から同意を得られなければ、マコネル氏はこのルールを通すのに必要な51人の議員から賛成を取り付けようとするだろう。マコネル氏によると、議員51人の同意が得られない場合には、上院議員らの提出する一連の動議や提案を通じてルールが決まることになる。
クリントン氏の弾劾裁判ではこのルールが賛成100、反対0で超党派で可決された。決議には審議の時間運営、証人の要請、論証の提示の仕方などが含まれた。
弾劾裁判はいつまで続くか
いつまで続くか不透明だが、クリントン氏の弾劾裁判は5週間続き、クリントン氏の無罪放免で終了した。
下院民主党は来年の大統領選に向けて、民主・共和両党の支持が拮抗する選挙区での有権者獲得にワシントンの政治の駆け引きは逆効果との党内の懸念を受けて、弾劾手続きを急いだ。共和党は民主党の進め方は拙速と批判してきた経緯があり、上院でマコネル氏がどのようなペースで裁判を進めるかは不明。
弾劾裁判は大統領選の民主党有力候補であるサンダース上院議員やウォーレン上院議員の選挙戦を実質的に脇に追いやりかねず、バイデン氏も証言を求められれば同様のことになる。
トランプ氏は民主党の弾劾調査を使って支持者をたきつけ、選挙戦の資金集めにつなげている。同氏が正式な弾劾裁判入りを望むと公言しているところからは、同氏が上院での戦いの長期化に備えられるように見える。
マコネル氏は早期幕引きが可能か
クリントン氏の弾劾裁判で上院で採用されたルールは、大統領への告発を却下する動議を提出することを上院議員に認めた。今回もこうしたルールが決まって、動議が出され単純過半数で可決されることになれば、弾劾手続きは事実上終了する。
クリントン氏の弾劾裁判の最中、同氏に同情的な民主党議員が動議を提出したが、否決された。
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