最新記事

中華料理

白人夫婦の中華料理店、「クリーン」を売りにしたら中国人差別と非難されて閉店に

'Clean' Chinese Restaurant Opened By White Couple Closes After 8 Months

2019年12月11日(水)17時50分
K・ソア・ジェンセン

目指したのは「健康中華」かもしれないが、「クリーン中華」と言ってしまった luckyleesnyc/INSTAGRAM

<シェフは「中華料理や寿司を食べた翌朝は足がむくむ」などとも書いていた>

「クリーンな中華料理」を謳ったニューヨークのレストラン「ラッキー・リーズ(Lucky Lee's)」が、開店からわずか8か月で閉店に追い込まれた。

同店は12月8日、インスタグラムの投稿で閉店を発表した。

シェフのアリエル・ハスペルと夫のリー・ハスペルという白人夫婦が開いた店は、開業以来、中国人の中華料理店に対して差別的、異文化に無神経、果ては文化の盗用とまで言われ非難を浴びてきた。

ラッキー・リーズは、「ツォ将軍のチキン」やローメン(焼きそば)などのアメリカ風ファストフード中華を提供していた。グルテンフリー、小麦フリー、ピーナッツやカシューナッツ、ピスタチオを使わないなど食事制限のある人に配慮し、GMO(遺伝子組み換え作物)や精製された糖や着色料は使わないなど、健康に配慮した料理を謳っていた。

しかし開店後間もなく、ハスペルのもとに非難が押し寄せた。同店の宣伝が、中華料理は不潔で健康に悪いという固定観念を助長する、という批判だ。

ラッキー・リーズのサイトも、たちまち悪評で埋め尽くされた。中華料理に対する「偏見に満ちた」宣伝に、多くの人が拒否反応を示したためだ。

中国系コミュニティーに謝罪

実際にラッキー・リーズで食事をした客も、満足できなかったようだ。ある客は、白人としか付き合ったことのない郊外暮らしの母親が、ブロッコリーを蒸して香辛料だけ振りかけたような味だったと語っている。

アリエル・ハスペルは、中国料理の伝統を尊重している、と反論した。しかし自身のブログには、「お気に入りの中華料理店や寿司屋に行った次の日の朝に、身体がむくんでいるように感じることがある。目がはれぼったかったり、指輪が指に入らなかったりする経験は、みなさんもあるでしょう?」と書いていた。

「当店ほど、原材料の品質に注意を払っているアメリカ風中華料理はめったにありません」と、アリエルは書く。「当店の料理を食べればきっと気分が良くなるはずです。食後は運動がしたくなって、集中力も高まります。健康にプラスになるはずです」

その後アリエルは、投稿を削除。mashupNYによると、ニューヨークタイムズのインタビューで中国系コミュニティに対して謝罪したという。

<参考記事>韓国でスープになる直前の犬を救出 ベトナムでは犬食が国際問題に!
<参考記事>韓国のインスタントラーメン消費は世界一、その日本との関わりは?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国務長官、4月2─4日にブリュッセル訪問 NAT

ワールド

トランプ氏「フーシ派攻撃継続」、航行の脅威でなくな

ワールド

日中韓、米関税への共同対応で合意 中国国営メディア

ワールド

米を不公平に扱った国、関税を予期すべき=ホワイトハ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中