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トランプは反ユダヤ主義だ、ユダヤ系アメリカ人が反発、支持率も半減

Jewish Groups Slam Trump's 'Anti-Semitic' Remarks

2019年12月9日(月)17時05分
ジェイソン・レモン

トランプが大統領に就任して以来、在米ユダヤ人の間で共和党への支持が大幅に低下していることもソイファーは指摘した。「トランプ大統領の政策と発言は、ユダヤ人の価値観と相容れないため、2014年には33%だったユダヤ人の共和党への支持率が、18年には17%に低下した」

親イスラエルのリベラル派アメリカ人グループ「Jストリート」も、トランプの発言には批判的だ。「合衆国大統領は、ユダヤ人の聴衆に語り掛けるにあたって、自分の頭の中ある反ユダヤ主義に凝り固まった言葉しか使えない」と、ツイッターで非難した。

トランプは大統領就任以来、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の極右ともいえる政策を強く支持してきた。ネタニヤフは現在まさに四面楚歌の状態で、汚職と贈収賄の罪で起訴されているうえ、2019年の総選挙では単独過半数も取れず、野党の協力も得られず、政権樹立に失敗している。

一方、トランプ政権は過去数十年続いたアメリカの対イスラエル政策を大きく方向転換し、米大使館をテルアビブからエルサレムに移した。エルサレムはパレスチナ人にとっても重要な都市で、独立国家を作ったときにここを首都にするのはパレスチナ人の悲願だ。そのため、エルサレムをイスラエルの首都と認めるにも等しいこの政策は国際社会から非難され、パレスチナ人も激しく反発した。

さらに11月には、国際社会が違法とみなすイスラエルによるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区の入植活動について、アメリカ政府は「違法」とは見なさないと発表した。

トランプは今年8月にも、トランプは民主党に投票する在米ユダヤ人は「無知か、忠誠心が完全に欠落している」と述べ、非難の的になった。

(翻訳:栗原紀子)

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